今のが『ブラックエンジェル』の宿敵……荒廃者ですよ!


アメリカ最大のゲームコンベンション、GEN-CONも開催となり、当然プレイするだけではなく新作の発表・発売の場としても注目されております。

そしてそこで初めて発売されるいわゆる“GEN-CON’s NEW”のが毎年話題となるのですが、今回紹介いたします
ブラックエンジェル

もGEN-CON発売の新作となります。

世界的には日本時間の昨日が発売日。GEN-CON終わってからでないと出荷できないとはいえ、ほぼほぼ世界同時発売ですよ!

お話し的には荒廃した地球を脱出する人類蒔種船“ブラックエンジェル”号に搭載された各国のAIとなり、「人類にとって最適なAI」となるべく別銀河の可住惑星を目指すというものとなります。

ゲームとしてはかなりのビッグゲームで、複数の要素が絡んだシステムとなります。
デザインは『トロワ』のデザイナー面々。

初期セットアップの図。

結構多いな?

ボードは3つに分かれていて、

ブラックエンジェルボード
ブラックエンジェル号艦内をあらわすブラックエンジェルボードは、大きく3つのエリアに分かれていて;

緑が軍事種族ツソス人への使節団派遣 + 他種族を滅ぼさんとしている“荒廃者”への攻撃アクションエリア。

灰が再生技術に長けたカビット人への使節団派遣 + とブラックエンジェル号修理アクションエリア。

橙が高度技術を持つメルリアン人への使節団派遣 + と新技術開発アクションエリア。

中央は各プレイヤーの使用可能なロボットの置き場。

「使用可能なロボット」も各プレイヤーのリソースなのですが、これらのロボットだけは中央に置かれます。

各プレイヤーの使用可能なダイスの置き場。

ダイスの目は★-1-1-2-3-3の目で、最初は各職1個、合計3個。

マーカーでどのプレイヤーのエリアなのかをあらわすの贅沢なデザインだと思う。

使用済みダイスの置かれるエリアに各プレイヤーのダイス再利用可能数をあらわすロボット。

ここのロボットを増やせば、ダイスリセット時に自分が使えるダイスが増えるのだ。

技術タイル置き場。

左の物が通常の技術で、右の黒いものはゲーム終了時に得点源となる上級技術。

点数トラック。

5点スタートなのはゲーム中にマイナスされる可能性があるので。

……となっておりますが、すでにいくつかのエリアは荒廃者により攻撃を受け、損傷を受けています。
赤いカードが攻撃している“荒廃者”。

赤いキューブがダメージ。

荒廃者カードは、そこのアクションに個別のペナルティが発生し、ダメージはその色のアクション時にダイス目にペナルティを与えるのだ。

なお、ボード類のアイコンはしっかりデザインされているので、ルール確認はしやすいほうだと思います。

宇宙ボード
宇宙ボードはブラックエンジェル号が突き進む銀河間空間で、メルリアン人やツソス人、カビット人、通行不能な宙域、荒廃者出没空間などの情報があります。

ブラックエンジェル号は中央にあり、惑星スペズはしばらく登場しません。

造形がよい!

惑星スペズははある程度ブラックエンジェル号が航行したら登場します。

プレイヤーボード
プレイヤーボードは獲得した技術タイルや宇宙ボードから取り除かれたカードを配置するボードになります。

最初は初期技術が3つ、ランダムに並んでいます。

上辺には残るリソースである、資源、デブリ(ダメージコマを取り除いて入手する)、シャトルの置き場になります。

プレイヤーの初期リソースはダイスとカード各1と、ロボットとシャトルと資源とデブリ( + 手番順で後手の人には追加資源)。

また、手札は各種1枚ずつとなります。

ゲーム的には、ブラックエンジェルが惑星スペズに到着するか、荒廃者の山札がなくなったときの獲得点数で勝敗が決まり、点数はゲーム中にアクションにより獲得したり、ゲーム終了時にどれだけほかの種族と接触して技術を得ることで獲得したりします。

リソースの種類を整理すると……
手札はプレイヤーボードに獲得した技術の発動に使ったり、宇宙ボードでほかの種族と出会うために使用します。

ダイスアクションを実行するために使用します。

使用できるダイスは自分のダイスプールに置かれるのですが、ほかの人のダイスプールのダイスも資源さえ払えば使用できます。

ダイスの目はそのダイスを消費できることで行えるアクション数となります(星の目は0)。つまり、大きい目ほどいろいろお得。
また、ほかの人に使われないために資源を払うことでダイスを「ロック」することもできます
加えて、自分のダイスプールのダイスはデブリを払うことで裏返すことができます(ダイスの目は対面での差はすべて2)。

また、デブリは獲得したときに技術タイルを1回だけ起動するのにも使えます。
シャトルロボットを乗せて宇宙ボードを移動し、カードを使って遭遇するために使用します。

ロボットシャトルに乗せる、使節として接触した異星種族のカード上に置く、ダイス回収効率を上げるのに配置するなどに使用します。

結構多いけど、アイコンがうまく機能しているので覚えやすい。


手番ですることは;

1)アクション:プレイヤーボードにカードのプレイ(これは選択)、その後ダイスを使ってのアクション

2)リセット:ダイスのとプレイヤーボードのリセット

のいずれかです。

1)アクションでできることは以下のような感じ。

手札のカードを空いてるスロットに裏向きで差し込んで、個人ボードのその列のその色の技術タイルの能力を使用する。

もちろん、初期タイルしか最初は無い(技術タイルはダイスのアクション(橙)で獲得しなきゃダメ)。

荒廃者のカードは色に関係なく全部発動と協力だけど、カードの補充は自動的にはされないので注意。
(他の3色は、ダイスを使ったら同じ色のカードが補充される。)

例えばこの例で発動した緑のタイルは……

ロボットを追加するか、今いるロボットをダイス回収の役割に割り振ることができます

カードのプレイは任意となりますので、後々のためにカードを取っておきたかったり、手札がない場合などはしなくて構いません。

ダイスでのアクションには3色に対応したアクションと、異星種族に使節を送るアクション3色分と、異星種族に接触し宇宙ボード上に手札から置かれたカードのうちアクションを行えるものがあります。

例えば、技術タイルを自分のボードに置く「技術の発見(橙)」

使うダイスは橙。

ブラックエンジェルボード上のアイコンはこちら。

ダイスを技術タイルの置き場から選びます。

なお、取れるタイルは消費できる出目で決まりますので、出目は大事。

取ったタイルはこっちから押し込んでいく。

気が付かれたと思いますが、技術タイルは1列に3つまでしか置けません。はみ出た場合は、わきに置かれますが、上級技術タイルの場合は上級技術タイル置き場に置かれます。

これで個人ボードを強化し、点数につなげていくわけです。

なお、技術タイルは自動では補充されず、補充のためには異星種族に接触しなくてはなりません。

「ブラックエンジェルの修理(灰)」でアクションやダイスに置かれたダメージを取り除く。

使うダイスは灰。


ブラックエンジェルボード上のアイコンはこちら。
なんで修理が必要か、というと荒廃者により攻撃されてダメージがあるアクションはアクション数が減るし、ダメージがあるダイスはリセット時に勝利点減点となるため減らしたほうが良い。

あと、先に記述しましたが、修理するとダメージをデブリ(これもリソース)として確保でき、これで技術タイルを発動するのに使用したり、自分のダイスを裏向きにするなどに使用できるのだ。

デブリで起動し、シャトルを獲得

「荒廃者の撃退(緑)」で荒廃者カードを取り除く。

使うダイスは緑。

ブラックエンジェルボード上のアイコンはこちら。

荒廃者を取り除くと、荒廃者カードが手に入る。

そして、荒廃者カードは個人ボードの技術タイルの使用時に有効なのでできれば集めておきたいところ。

「シャトルの指揮(橙)(灰)(緑)」でシャトルにロボットを乗せて異星人に接触したり……

例えば灰色のダイスで起動した場合のブラックエンジェルボードの表記はこちら。

ロボを乗せ、シャトルを移動させて……

使ったダイスと同じ色のヘクスで止まっていたら……

その色と同じ色のカードを手札からそのへクスに出して、ロボを使節として置き、その下の使節のボーナス獲得(そしてカードの「所有者」表示でもある)。

カードを置いたときシャトルは停泊させておきますが、あとのアクションでよそに移動することも可能。

そして他の人もカードを利用するために停泊できる。

なお、シャトルもロボもリソースであり、勝手に増えたりしないので何らかの方法で増やさなくてはならない……

そして、異星人との接触は荒廃者の注意を引く可能性があり、ブラックエンジェルに荒廃者カードとダメージが置かれる可能性がある。

接触したヘクスに隣接する荒廃者アイコンの数だけ荒廃者が引かれる……山札が尽きたらゲーム終了だ。

カードの配置場所はカードに記載……ブラックエンジェルボードの4、1、4の場所……ダメージは2個までしか置けないので、3個目からはその色の使用済みダイスにダメージが置かれる。

新しく接触した異星種族のカードには、補充できる技術タイルも書いてある……新技術は異星人によりもたらされるのだ。

ただし、自分のものにするにはダイスを使ったアクションで取らないといけない。

このように新しいタイルが追加されていき、残ったタイルは押されて安くなっていきます。

またこうやって自分のカードやシャトルを置いてあるカードは、ブラックエンジェルボードのアクションに加えて選べるようになります。

使うダイスは、そのカードと同じ色で、カードごとに効果は異なります。

カードの早見表は覚えるまで必須だ。

自分で接触して使節を置いておらず、シャトルを置いているだけでのカードも発動できますが、その場合所有者も1回だけ発動できます。

そしてダイスを使ったら、ダイスはストックに戻して同じ色のカードを1枚引きます。

このようにして(カードや)ダイスを使ってアクションをしていると、自分の使えるダイスがどんどん減っていってしまいます。


そこで2)リセットを行うのですが……

1)それぞれの色の使用済みダイス置き場には、自分のロボが置かれています(ワークステーション)が、その数に等しい数だけダイスを取ってふりなおし、自分のダイス置き場に置きます。

ロボを増やせば増やすほど自分のダイスは増えるのですが、そのためには何らかのアクションでワークステーションのロボを増やさなくてはなりません。

2)プレイヤーボードもリセットされます……技術タイル発動に使ったカードは捨て札になります。技術を起動するのに使ったデブリはプレイヤーストックになります。
3)ブラックエンジェル号が目的地に向かって前進します……
ブラックエンジェルを前に動かし再後尾のボードを裏返して前に置くのですが……

ボードから取り除かれるカードが効果を発動するの、ソレニアで見た!


下段左が所有者、右がシャトルを置いている人が得られるもの。わかりやすい。

ただし、乗っていたシャトルやロボはサプライに戻されてしまうので補充しないとにっちもさっちもいかなくなるので要注意。

そして宇宙ボードの端にあったカードは所有者の個人ボードの右スロットに差し込む。これはゲーム終了時に上級技術の得点上限に関係するのだ。

例えばこれだと、手札にある荒廃者カード1枚につき2点だけど、上限は上級技術1枚で4点+刺したカード1枚につき2点が上限

また、こうやってブラックエンジェルが進むことによって惑星スペズに到着したらゲーム終了となります。


……他にも細かいルールはありますが、概要はこんな感じ。

いろいろなリソースやアクションが相互に関係している構造で、カードは技術タイル発動に必要で、上級技術得点の上限解放にも必要だけどそのためにはシャトルで使節を送るために使用しなくてはならず……かといってシャトルもロボも有限なリソースであり、増やすためには何らかのアクションが必要でダイスかカードを使わなくてはならず……そもそも手札の素敵なアクションを持つカードはタイル発動になんてもったいないし……等々いろいろな要素が複雑に絡みあっており、それだけではなくほかのプレイヤーの行動まで絡まってくる感じ。
どのように得点行動につなげていくのかが悩ましい感じのゲームとなってますが、プレイ自体はそれほど難しくはない感じ(注:何も考えていないとあれもこれも足りない状況にはなりますが)。
宇宙ボードの組み合わせは毎回変わり、カードの種類は多く、毎ゲーム違った展開となり、またプレイバリエーションとして上級技術タイルを導入したりすることで難易度の調整も可能となっています。
重量級のゲームデじっくり悩みたい遊びたいという方に、かなりオススメできます。

ブラックエンジェル
プレイ人数:1-4人
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:60-120分
製作:Pearl Games
デザイン:セバスチャン・ドゥジャルダン、シャヴィエ・ジョルジュ、アラン・オルバン
価格:8,500円+税

ちなみに『ソレニア』は『ブラックエンジェル』の宇宙航行の部分を流用してつくられた派生ゲーム。ビッグゲームも得意だけど、システムの一部だけで他の部分をそぎ落とした中級ゲームでもきちんと仕上げてくるというのはさすがと思うのです。