先に発売されていた『ヘヴン&エール』、先日発表して大反響をいただきました『アズール』などを手掛けた、ミハエル・キースリングがいつもの相棒ヴォルフガング・クラマーと組んだ新作が
リワールド
です。
プレイヤーは宇宙開拓船団の先遣隊として、開拓用ロボットユニットや企業ユニットを獲得して、それを惑星エウリュビアに持っていき、後発の移民団に先駆けてできる限り魅力的な条件をそろえようとすることになります。
……宇宙分譲住宅地開発競争?
ゲームは2部構成となっており、第1部は巨大ステーションで惑星開拓用のモジュールを獲得し、自分の宇宙船にドッキングさせるゲーム。
第2部は第1部で獲得したモジュールを使って惑星開拓をします。
……と、前半後半いずれのルールも簡単なのですが、前半は何のためにするのかから説明するとさっぱりなので、まずは後半から。
あなたの開拓母艦
スターウォーズに影響されているな……という塗りの開拓先遣母艦。
各ドッキングベイにモジュールがこのようにぶら下がることになります。
前半のゲームでこんな感じで獲得した……とおもいなされ。
各モジュールは機能が異なり;
テラボッツ(テラフォーミングロボット:AからEの5つの環境に対応)
これらが地上施設で……
があります。
自分の手番にはこのうち、いずれかのベイの一番左にあるモジュールを1つ起動します。
右に置くことで開拓開始。
これを起動して初めて都市が作られますが、AのボットはA都市、BのボッツはB都市など、環境に対応した都市しか作れません。
頭文字AからEまでの都市……これを「都市ライン」と呼び、最大5ラインできます。
《ビルダーユニット》は右にあるいずれかの都市ラインに加えることができます。
しかしビルダーユニットは単体では起動できず、次のシャトルを使わないと起動できません。
シャトルが左端にないならテラボッツを起動したり、サテライトを起動したりすることもできますが、にっちもさっちもいかなくなったら左端のビルダーユニットを起動して破棄するしかありません。
加えて、農業会社以外は各都市につき1社しか置けないので、同様に置けない場合は破棄するしかありません。
つまり、この場合A都市ラインしかないので、置かないという選択をしない限りAの都市ラインに置かざるを得ないということなのだ……
「左端のどれか」というのがかなりな制限……好きなタイミングでここぞというモジュールは起動できないことがポイントとなります。
《シャトル》は2通り……シャトルとしてビルダーユニットを2つ輸送するか、シャトルを改造して惑星防衛用のシールドにするか。
2つまでの左端のビルダーユニットを2枚都市ラインに加えることができます(1つだけ、もしくは何もドッキングさせてずにシャトルとして使用も可能)。
シャトルは軌道上にシャトルラインとしてのこります。
惑星を防衛するシールドにする場合、裏返しては都市ラインAの上に置いてシールドラインを作ります。
こんな感じで軌道上にシャトルが待機したり、防衛シールドが配置されるのだ。
《サテライト》は起動したら、サテライトラインを作ります(シャトルの横に置きましょう)
そして、置いた瞬間のあなたの開拓地の発展状況でボーナス点をもたらします。
こいつの場合、「いずれかの都市ラインのタイル1枚につき1点」。
シャトルラインとサテライトラインがあり、
その下の軌道を惑星防衛用のシールドラインが守り、
AからEの5つの都市ラインがある……これが理想の惑星開拓地。
これはDとEの都市ラインを作るテラボッツがいなかったため、こんなことに……ちょっと魅力に欠ける。
しかし、その建設状況は、どれだけ移民が来てくれるかが勝負なのです……
先遣船団は、各手番の終了時、プレイヤーの開拓地の状況を見ていち早くやってくる、各プレイヤーの先行達成ボーナスとなる船団。
「おう、あそこの開拓地、もうすぐ開拓終わりそうじゃないの」
1~5の各ドッキングベイが空くとやってくる。せっかち船団。
「おう、あそこの開拓地、開拓終わりそうじゃないの」
1~5のドッキングベイが空くとやってくる。堅実船団。
「おう、あそこの都市、すごく大きいじゃないの」
どれかの都市列が都市標識含めて8枚以上となったらやってくる。
「あそこの開拓地は食糧難にならなさそうだ」
食料会社3枚達成でやってくる。
「あそこはシールド/シャトル/サテライトが充実してるねぇ」
各ラインを規定数達成でやってくる。
……などなど、いろいろな性格の移民船が、ここだと思ってくれた開拓地に来てくれます。
そして、全員が開拓を終えたら来るのが移民船本隊。
ここは、各開拓地の達成順で点数(=移民人数?)がもらえます。
人数によってかわりますが、各シールド+A~E都市の6ラインのそれぞれにつき、タイル枚数が多い人から順に左の点数……ラインを作れなかったらマイナス点。
シールドの点数は都市より大きいのですが、シャトルは都市ラインを伸ばすビルダーを運ぶシャトルとして使えばタイルの使い切りも早い=先取ボーナスが取れやすくなる。
サテライトのシールドは、シールド枚数競争に絡まないのであれば、サテライトとして使ってボーナスをもらったほうが良いかもしれない……
各テラボットの枚数と並んでるラインとその深さ、各シャトルやビルダーやサテライトの枚数などなどはわかっているので、後半のプレイングはほかのプレイヤーが何をする気なのか、何ができるのかを考えつつ、効率よくモジュールを起動して開拓地に置いていかなければならない感じ。
多分、初回の何回かは自分の手元だけで精いっぱいだけど、慣れるとほかのプレイヤーのテラボットの種類と枚数、各ビルダーの枚数のカウントができる余裕が出て、プレイングを変えていけるし、変えなければならない感じ。
このようにシンプルな分出し抜くことも可能で、タイル配置のプレイングも重要ですが、そのためにも、後半ゲームで点数化のために「最初にこうドッキングされていればよいのでは?」というドッキングの配置もあるとおもいます。
そして、そのモジュールとして宇宙船にドッキングさせるユニットとそのラインと順番は、前半5ラウンドでの獲得にかかっているのです……。
開拓準備
と、いうわけで、後半は「こうなるだろうしこうしたい」、ということを鑑みてモジュール獲得です。
ここで重要なのは、置いた一番上のカードの数字のドッキングベイに、モジュールはドッキングしてしまうこと。
「4」のカードなので、4番ドッキングベイに。
しかも……カードを置くときには隣と同じ数字のカードを1種類につき1枚置かなければならない(もしくは、任意のカード2枚でワイルド)。
4と5が隣に出ているということは……
少なくとも4と5でこのタイルは獲得だ!
4を上にして出したので、4番ドッキングベイにドッキング。
4は合致したのがあるので1枚、3は無いので代わりに手元にあった1と2でワイルドに……2を上にして、2番米にドッキングさせよう。
手札の状況と並んだタイルをよくよく見て、他のプレイヤーが取りくそうなところに置くといいよ!
当然、ほかのプレイヤーが欲しいだろうな、というタイルはカットしてやろう!
……いや、邪魔している場合じゃないのかも?
もしくは、各種類ごとにうまくまとめたほうが強いのか?
先手は最初の1枚は自分の欲しいものを必ず取れるので、次のラウンドにかけたい人はスタートプレイヤーになるためにカードを使ってもいい……しかも1点獲得。
後半早く置きたいテラボットは、前半はなるべく後でドッキングしたい……なので、ラウンドごとにテラボット獲得ボーナスが設定されていて、だんだん減っていく。
最初にドッキングしたテラボットは一番最後に宇宙船から降ろすからなぁ……
最初のモジュールタイルの獲得は5ラウンド行うけど、テラボッツ獲得ボーナスは後半には2点になってしまう。
ボーナス点は結構高いので、先に取ったほうがいいのか……などなど悩んでタイルを獲得することになります。
※おそらく、ゲームを理解してもらうにはこんな感じで逆順で説明したほうが分かりやすそう。
このように、「点数を取るための最終形」をイメージしつつそれを実行しやすいようにタイルを獲得し、後半では「そろった自分のタイルの位置と枚数」だけではなく、「ほかのプレイヤーのタイルの位置と枚数」をよくよく見て、どのボーナスタイルで点数を取ってどのラインで何点取っていくのかを考えながらプレイすることになります。
大計画と小計画をし、想定と実行を試行錯誤する点でほかにはちょっと無いゲーム感。
プレイ自体はサクサクプレイできる軽さを持ち、プレイ後は「あそこでああしておけば……」という気づきもある良いユーロとなっており、ちょっと中・重量級のゲームが欲しいけどルールが少なめでプレイングに集中したい、という人にはかなりオススメとなっております。
リワールド
プレイ人数:2-4人
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:50-90分
製作:eggert spiele/Plan B Games
デザイン:ミハエル・キースリング&ヴォルフガング・クラマー
価格:6,000円+税
※ルール見落とし部分訂正いたしました。