私が政府の密命を受けていることもお忘れなく『ノーリア』


年末から年始にかけてエッセン新作が入荷してきましたが、今回紹介しますのはエッセンスカウトでも上位だった、新人女性デザイナーによるスチームパンクというか、スチームファンタジーテーマの

ノーリア

はゲームマーケット先行販売で一番人気だったゲーム。




物量凄い。

プレイヤーは空中に浮かぶ国家、ノーリアの有力者となって、議会で4つ+2つある政策に議員の関心を集めるロビー活動をしつつ、その政策に関する投資を行うことで点数を得て、勝利を目指します。

例えば、精錬議会(…製造業関係の政策かな? )に議員を3人送っていると6点。それに投資のランク(段数)をそれにかけた分だけ点数になります。

投資を6レベルしていた場合、6×6レベル=36点

なお、各政策の段にはそこに行くためのコストがあり、ほかのプレイヤーの代理人が上にいると、さらにコストが増します……これは後程説明する「アクション」が必要(《投資》アクション)。
上の状態まで進めるのに、6アクションと黒曜石が21かかっているのだ。

政策は左から、精錬(黒曜石が必要)、殖民(エネルギーと菌糸体が必要)、探検(セイル、コンパス、プロペラが必要)、研究(ピストン、ランプが必要)となっており、左のほうが投資1レベルの点数は低く、右は高くなっています。

商品は生産するためにはアクションを行って、資源を消費する必要があります。

あと、こちらは一番レベルが進んでいるところをに対して点数となる専門化議会と、一番進んでいないレベルに対して点数となる分散化議会があります。

専門家議会は、1議席あたりの得点が大きい。
分散化議会は、投資レベルの最低レベルが「投資してない政策がある=0レベル」なので全部の政策に投資していないと点数にならない。

議員に関しては「知識」を使って(ロビー活動をして?)議席におろし……
ほかの議会のまだ下に降りていない議員を1減らす。

「ちょっといい情報があるので、政策に反映してくれませんかね……」
「よし、議会で重要度がアップした、投資しよう!」
(「当社が重視していないプロジェクトは政治的働きで予算が回らないようにしてやる……」)
もしくは。
「当社はこっちの方向で投資するぞ。」
「当社力を入れてるのはこちらですので是非政策に反映を。」
(「代わりにライバルが進めているプロジェクトに政治的働きで重要度を下げてやる……」)

……マッチポンプじゃねぇか。
これは毎ターン、やるかやらないかは選択となります(これはアクションではない)。

このように、最終的な目的は政治家の後押しを背景にうまく投資をして点数を得ること。
実は非常に政治的なゲーム。
ゲーム終了時に各政策議会ごとに点数を出すだけなので計算は簡単だし、公開情報なので間接的なたたき合いとなって駆け引きが面白い要素となっています。


さて……そのその政策に議員を送ったり投資をするわけですが、そのためには飛空船で外部から輸入する資源3種(エネルギー、菌糸体、黒曜石)、空島に工場を建てて確保する商品5種(プロペラ、セイル、コンパス、ランプ、ピストン)や知識を獲得し、それらを使って、知識を得たり、商品を作ったり、投資に回したり、ロビー活動をしたりすることになります。

空島に自分の大使を送り込む(青い【航行ディスク】を使う)ことで、工場をそこに建てたり(《工場》アクション)、資源を輸入する(《飛空船》アクション)ことができます。

工場は建設すると、用地にあるアイコン数だけその商品の倉庫がもらえます。

プロペラ2個のアイコンの用地に工場を建てたので……


プロペラ倉庫2個をもらう。これは灰色の【工具ディスク】の《生産》アクションで資源を払って生産すると、表面の「在庫あり」になる。

もしくはその島の飛空船を1つ獲得する……資源は対応する色の【資源ディスク】を使うことで《資源》アクションを行い、今持っているその種類の飛空船の数だけ獲得できます……その飛空戦で輸入しているイメージかな?

この場合、緑の菌糸体の《資源》アクションだと菌糸が2個、/ピンクの黒曜石/エネルギーの《資源》アクションだと黒曜石/エネルギーが1個獲得できる。

灰色の【工具ディスク】はもう一つ、《強化》アクションを実行するために起動することもできます。
その場合いずれかのディスクを裏返して強化面を上にすることができ、強化されたディスクは1回の起動で2アクションまで行えます。
茶色の【都市ディスク】でできるアクションは2種類、《市場》アクションだと新たなディスクの獲得ができ、《投資》アクションだと先に説明した投資(トラック上で上のレベルに進める)ができます。
あと一つは【ボーナスディスク】ですが、これは起動するといずれかのディスクのアクションが増えるやつ。

知識はいくつか入手方法があって、アクションディスクの起動をパスすることで1知識もらえたり、工場が稼働している数に応じてもらえたり、闇市場で商品を売ったりすることで獲得できます。

……と、この辺りはリソース管理と変換効率のゲーム。
つねに手数やリソースなど何かしらが足りない中のやりくりや変換手順を考えるのが好きな人にオススメなポイント。


さて……それら『ディスクの起動』を管理している部分が、このゲーム独特のアクションを管理するアクションディスクとホイール

ホイールは大中小あって、小は2スロット、中は4スロット、大は6スロットあって、ここに7種類あるアクションディスクのうち初期の6種類をはめます。

これが初期状態。

このホイールの下半分に見えているディスク(小は1つのスロットが、中は2つのスロットが、大は3つのスロット)からつながる3枚を選んで起動し、最大4アクションを実行します(ボーナスディスクでアクションを増やしたり、強化されたディスクは2アクション行えるので)。

こんな感じでつながってるスロットのディスクを選ぶ……エネルギーと菌糸体の《資源》アクションを行える。

ディスクを起動すると対応する1アクション実行でき、そのアクションで資源を集めたり、空島を探検して工場建設したり資源のもととなる飛空船を獲得したり、新しいディスクを買ったり投資をしたり、資源を払って商品を生産したりディスクの改良をしたりするのです。

ホイールはアクション実行前に知識を払うことで余計に回したり、ディスクを動かしたり、入れ替えることもできます。

知識1を払ってやると、中・大ホイールを1進めることができる。知識2を払うと、ディスクの位置を変えたり、入れ替えたりできる。

で、ホイール調整をし、アクションを実行したら、政治家を知識で動かして……
ホイールを1マス分動かします


これが……


こうなる。

資源や商品や知識の所持数、ディスクの位置、投資状況……などなどは公開情報であり、次の手番で何がしたいのか、次の手番で何が可能になるのか、さらに先には何ができるように組んだり調整するのか……をひねくりだす必要があります。
この計画を怠ると、次のラウンドでやりたいことができなかったり、すべきことができなくて出し抜かれることになります!

このように、ゲームの流れ自体は簡単で、毎手番
「ディスクを調整」
「ディスクを3枚まで起動して最大4アクション」
「政治家を動かすアクション(オプション)」
「ホイールを動かす」
を規定ラウンドするだけなのですが、どうやって勝つかは別な話。

議会に議員を送れば送るほど、投資に対しての点数は上がりますが、ほかのプレイヤーに投資額で負けてしまえば塩を送るようなもの。
さりとて、自分だけ投資しているジャンルなど、議員は削られるに決まっている。また、政治家の要求はラウンドが進むごとにきつくなってくるので序盤に政治家を動かしたほうが良いのか?
リソースのため空島開拓するにしても、工場を建ててばかりだと、資源のほうを抑えられて工場が稼働せずに空の倉庫を眺めるだけに終わりそう……ほかプレイヤーがとりそうなルートに相乗りするか、たもとを分かつか?
そして、自分のリソース獲得能力もだんだん上昇してきますが、ほかの人もいろいろ画策しており、進路変更は柔軟にできるに越したことはなし。
……と、必要な資源も商品もアクションも微妙に足りない状況で勝利を目指すことになります。

勝つための戦術上のルートも多いのですが、集約される得点ルートは少ないため「現状はどうなのか」という見通しもしやすく、また運の要素は空島だけでありすべての状況は公開情報なため計画をたてる指針も多く、各プレイヤー間のインタラクションは少なめなゲームなので自分はどうすべきかに集中しつつ、ほかのプレイヤーは次に何が可能で何をしたがっていているのかにも気を付けなければ出し抜かれる感じ。

中長期展望という戦略的選択と短期的な戦術のゲームであり、そのフレーバーも魅力なのですが、ごちゃごちゃとリソース変換するのが楽しい、効率の良いアクションサイクルの構築にひかれる、中・重量級のゲームがやりたいという方にオススメいたします。

ノーリア
プレイ人数:2-4人(ソロプレイできるルールもあるよ
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:70-120分
製作:Pearl Games
デザイン:ソフィア・ヴァグナー
価格:7,000円+税