『パンデミック』のシステムの柔軟性は、『パンデミック:クトゥルフの呼び声』でも確認できたと思いますが、今回紹介いたします
パンデミック:イベリア
も、基本的なシステムは『パンデミック 』を使用して、19世紀中ごろのイベリア半島を舞台にした単独で遊べるバリアントとなります。
【一応知らない人はいないと思いますが】
『パンデミック』自体の説明をかいつまむと、各都市に次々と病原体に侵された人々があふれていくなか、プレイヤーたちは協力して感染拡大を防ぎ、その治療薬を発見するのが目的。
プレイヤーは自分のターンに4アクションを使い、移動したり、治療したり、カードを交換したり、集めたカードで治療薬を作ろうとします。都市に置かれていく病原体コマ……
カードをやりくりしつつ、世界各地を飛び回り、治療薬を開発する……
しかし、時間とともに感染は広がり、時に爆発的な感染の拡大が起こる。
そして、連鎖的感染拡大が起きる場合も……といったゲーム。
相違点としては……
舞台は19世紀中ごろの、イベリア。
地図を見ての通り、ピレネー山脈以南のイベリア半島が舞台。
世界地図ではないので、東と西は繋がっていない……
飛行機での移動は当然ありませんので(民間旅客飛行機は第一次大戦後になる)、かわりに、
- 港から、行先の港の色のカードを捨てることでその港に行ける海上移動と……
- アクションを使って敷いた線路上を距離に関係なく移動できる鉄道移動
が導入されています。
特に、鉄道は引き方によって絶大な威力を発揮します!
あと、新たなアクションとして「水の浄化」が加わっていますが、これはカードコストを払うことで都市で囲まれた「地域」に浄化トークンを2個置くもの。
このトークンは、隣接する都市に病原体コマが1個置かれるときに、代わりに捨てられるので、アウトブレイク(感染が他の都市に飛び火すること)を防ぎたいときにはかなり有効……ですが、カードコストがちょっと痛い。
もとのゲームでは研究所でしたが、今回は「病院」となり、しかもゲームの終了に必要な「研究」は『パンデミック』の「治療薬の発見」とは異なり、その色の病院で行う必要があります。
なお、その病気の「研究」であって「治療薬の発見」ではありません(ウィルスすら見つかってない時代です)。
『パンデミック』では治療薬の発見後であれば、治療アクションでその色の病原体を取り除くのが容易になり、盤上から無くすことで「根絶」(盤面に出てこなくなる)できましたが、19世紀半ばなので治療の効率化も根絶もできません。
ちょっとだけ水の浄化アクションがやりやすくなるだけです。
キャラクターは7種類いますが、どれも元の『パンデミック』とは微妙に異なった能力を持っています。
イベントカードは15種類も入っていて、どれも歴史背景に即した内容です。
このように、少しだけ時代背景や地勢に合わせてルールが変更されており、難易度的には微妙に上がった気がします。
(というか、最後まで気が抜けない感じ……根絶ルールが無いのが結構厳しい。)
しかも、「病人の移動」と「病原体の特徴」という追加ルールが2つも入っており、病人が移動することによりよりアウトブレイクでのゲームオーバーがしやすくなります。
病原体の特徴に至っては、治療しにくいチフス、アウトブレイク時にはあっという間に感染が広まるコレラ、港沿いにあっという間に広がる黄熱、発生するときに感染患者(病原体コマ個)数が多いマラリアなど、確実にゲームの難易度が上がります。
病人の移動は、病院に向かって一番近くのその色の病原体コマが1個、移動してくるというもの。
4個になったら病院はあふれかえり、アウトブレイク1回としてコマを進め、病原体コマは周囲の都市に移動していきます(逃げ出したわけです……)。
もちろん、その結果アウトブレイクする場合もあるし、以降のターンにも病院に向かって移動してきます。
ヤバイ。
それぞれ特徴的な特殊能力が。
状況との組み合わせによっては壊滅的な事態が訪れるかもしれない……
『パンデミック』をプレイしたことがない人でも内容は保証済みの『パンデミック』バリエーションですのでお勧めできますが、少しだけ内容が複雑で難易度も若干上がってるのでプレイ経験者の方がオススメではあります。特に、パンデミックジャンキーな方々や、パンデミック倦怠期な方々には新しい挑戦としてかなりの歯ごたえですのでお早目の挑戦をオススメいたします。
パンデミック:イベリア
プレイ人数:2-5人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:40分
製作:Z-MAN Games
デザイン:ヘスース・トレス・カストロ、マット・リーコック
価格:5,000円+税