キューブ置いてけ、なあ『インベンターズ』


フランス・アスモデのゲームの発表時期が、欧州・エッセンではなくアメリカ・GEN-CONに移りつつある感じで、今回紹介いたしますのは欧州ではエッセン新作ですが、GEN-CONで実は少数先行販売していました、

『インベンターズ』

です。

デザインは『中世の建築士たち』のフレデリク・アンリで、こちらも似た部分がちらほら……


プレイヤーの目的は、原始時代から近現代までの様々な《発明・発見品》の成立にコミットして、その貢献度で報酬を獲得し、もっともすぐれた発明・発見家チームであることを証明するもの。

各プレイヤーは4人の発明・発見家によるチームを率います。
古代チーム

アレクサンドリア大図書館の教職ヒュパティア、エウレーカ!のアルキメデス、哲学者アリストテレス、医師の祖ヒポクラテス

中世チーム

数学者で聖職者ニコル・オレーム、アラビア数学を修めたフィボナッチ、医療のヒルデガルト・フォン・ビンゲン、印刷術のヨハネス・グーテンベルク

ルネサンスチーム

ボイルの法則のボイル、引力や運動に関して様々な発見をしたニュートン、天文学者ガリレイ、数学者パスカル

近代チーム

蒸気機関のワット、機械式計算機のプログラマのエイダ・ラブレス、ラヴォアジエ数でおなじみラヴォアジエ、雷の実験で有名なフランクリン

現代チーム

20世紀の物理の巨人アインシュタイン、発明王エジソン、エジソンのライバルで交流送電のニコラ・テスラ、ラジウムの研究でノーベル賞も受賞したキュリー夫人

各発明・発見家には、物理化学工学数学の4つのパラメーターがあり、それぞれ初期値が異なります。

このように、トークンをはめ込むのだ。

因みに色ごとに結構違う初期能力。

目的となる《発明・発見》は3時代に分かれており……

このように、人数に応じた枚数(写真は3人プレイ時)の《発明・発見》の上に、ランダムに報酬トークンが2個置かれています。

毎ターン、プレイヤーは手元の発明・発見家1人をいずれかの《発明・発見》の達成のために働かせ、貢献していきます。
貢献度は、このパラメーターの数だけトークンを置くことであらわされるのだ。

工学の天才、ニコラ・テスラにかかれば弓の発明に必要な工学を満たすのは容易!
あとは物理1、数学2!


働いたらタップ横に倒します。

しかし、一度働いた労働者発明・発見家は休息を取るまで働けません。
そんな時は、誰かを派遣する代わりに休息を選ぶと、全員がリフレッシュしてくれます。

 

過重労働、よくない!

つまり、プレイヤーの手番に選ぶのは「1人働かせる」か「全員休む」だけ。
ルールは簡単。

《発明・発見》は、その達成に必要なキューブがすべて置かれたら完成で、時代が下れば必要キューブ数も多くなります。

弓、完成。
時に1万年ほど前。

報酬はもちろん、貢献度の大きい人からですが、同点の場合完成させた人から時計回り順で近い人に優先権があります。
ターンプレイヤー=ちなみに完成させた人はレオナルド・ダ・ヴィンチ像を受け取ります(ターンプレイヤーマーカーだけど、持って確認するのは報酬配分の時だけなので、完成時にのみ動かせばいいのだ)。

《発明・発見》が完成した場合、コミットしていたプレイヤー上位3人が、カードと2個の報酬トークンの分配の権利を得ます。

黄色が完成させて、この盤面だと……2個置いていて黄色の次の→2個置いていてさらに次の→1個置いてる黄色の順で報酬を選べる。

《発明・発見》自体は記載されている点数となりますが、そろえた《発明・発見》の0ジャンルから最大5ジャンルまでの1枚ずつの1続きのセットの最大のジャンルナンバーがボーナス点になります。

ジャンルナンバーが飛んでるのでボーナス無し。

こちらは0-1-2-3-4なので、ボーナス4点。

時代に応じて2点、3点と1枚の点数が大きくなる上に、ボーナスが結構大きいので、積極的に狙いたい。

報酬トークンはいろいろな効果があります。
裏は共通で1、他にも2、3、4があり……

自分の発明・発見家の知識レベルを1段階上の物にアップグレードできるもの。



アインシュタインの物理を1から2へ!




「使えないかな?」という報酬トークンでも裏は1なのをお忘れなく……テスラの物理を0から1に!
はめ込むのが楽しい……!

1回の労働での貢献度がググッとアップ!
しかもゲーム終了時にそれぞれ目標を達成していると結構な点数に。

最短で成長させて3点。


多少余計に成長させても大丈夫……9点!


ものすごく成長してるけど、要求は満たされていない……数学力が足りない。0点。

他にも直接点数になったり、使い捨てでキューブを多く置けたり、連番ボーナスの空いている番号の代わりに使えたり、全員リフレッシュできたりといろいろな効果の報酬トークンがあります。

このように、ゲームシステムはシンプル。
人数に応じて置かれた時代Iの《発明・発見》を1枚残して完成したら時代2、同様に時代IIが1枚残して完成したら時代III、そして時代IIIを1枚残して完成させたらゲーム終了。この「1枚残して」も結構イヤラシイ……

《発明・発見》とその上の報酬トークンに関しては全員が確認できる状況で、各プレイヤーの発明・発見家は微妙に能力が異なり、1人が働いただけでは決して《発明・発見》は達成されないので、

(これは……連番ボーナス点数狙いで確実に貢献度トップに行きたい)
(あげるわけねージャン)
(いや、お前もだよ)
とか
(カードでもトークンでもどれが取れてもいいけど、青プレイヤーをいやがらせしておいた方が良さそうなんで貢献度2位は欲しい)
とか
(ここでこっちを狙うより、完成させて時代を終わらせよう!)

などの、ジリジリした展開が楽しめる感じ。

テーマ的な部分はそれほど強くはないけど、ワーカープレイスメントであり、マジョリティ競争であり、セットコレクションである独特なプレイ感で、運の要素が小さ目で、1アクションの選択が何点プレイになって、他の人のプレイの選択肢をどう狭めるか……プレイ時間が短めだけど各プレイヤー間での濃厚な駆け引きのあるゲームとしてかなりオススメいたします。

インベンターズ
プレイ人数:2-5人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:40分
製作:Asmodee / Studio Bombyx
デザイン:フレデリク・アンリ
価格:4,500円+税

正誤表