ポルトガルはリスボンから電車で1時間のリゾート都市、エストリル……
F1やモトGPファンであれば、エストリルサーキットが思い浮かぶのではないかと思うのですが、第二次世界大戦中は中立国のリゾート都市と言うことで、各国のスパイが暗躍する都市でもありました。
シティ・オブ・スパイ:エストリル1942
は、そんな各国のスパイ組織の暗躍がテーマのボードゲーム。
この太陽降り注ぐリゾート地で、自分のスパイ組織を強固なものとし、目的を果たすことで勝利を目指すのです……
自分の組織のスパイは最初はこんな感じ。
左上の黒丸の数字がスパイとしての力。その下は国籍。その下のアイコンは(有れば)様々な能力をあらわす。
メダルは最後に自分のスパイ組織のメンバーだった場合の点数。
正直最初はしょぼい。
毎ラウンド向きも含めてランダムに8枚中6枚が配置される、エストリルの各場所を表したボードが舞台。
そして、ゲームの目的である、勧誘したいスパイたちが配置される。
さまざまな国籍、能力、点数!
初期メンバーに比べてなんと優秀な……
ゲーム開始時にランダムに置かれる今回のゲームの「任務」。達成(一番だと)するとボーナスだ。ゲームではランダムに4枚使う。
失敗してもきっと救援は無い。
ゲームは4ラウンド実行し、獲得したスパイや目標達成によるボーナスにより得られる点数を競います。
ゲーム自体はシンプルなマジョリティ獲得、と言うか、競り的なルールで……
エストリルの各地がランダムに並べられ、無所属スパイたちが配置されます。
《SECRET》と書かれているマスは、裏返しでスパイを配置するのだ。
プレイヤーの目的は、この無所属新人たちを、自分の陣営に引き入れること。
さらに、その中の区分にも数字がふられていたり、アイコンがあったり。
毎ラウンド、プレイヤーは手番順に、自分のスパイを1人選んで、いずれかの地域に配置します。
この時も裏向きか表向きかは指示通りに。しかも、ボードの端の空いているところから、自分の色のスパイでつながるような地域にしか置けないので、真ん中のタイルなどは侵入場所の奪い合いになるかもしれません。
例えば、この場合4番のタイルのIIIのマスには、赤のスパイは現状置けない……2番タイルの「I」や、左のタイルの「III」に赤いスパイがいれば置けるようになるのだ……
因みにこの目のアイコンは、スパイをそこに配置することで裏向きのスパイタイルをこっそりのぞき見れるというもの。
プレイ人数によってきめられた人数のスパイを配置したら獲得できるかの判定になります。
基本は、各地域のタイルごとに、自分のスパイの合計数字が大きいプレイヤーが、そこの新人を獲得できるというもの。
ここまでならフツーの競りゲーム。
しかし……地域のタイルの数字の小さな地域タイルから、そしてその地域タイルの数字の小さなマスからスパイの行動の解決をしていくのがミソ。
そして、各地域の特殊ルールや、各スパイの特殊能力により、簡単な数字の優劣ではすみません。
配置の時にはこの地域タイルの特性や各スパイの能力の発動順を考えつつ、他のプレイヤーの動向、各地域タイルの解決順など様々な要素を考慮しなければならないのです!
例えば……
《暗殺》能力を先に発動させることで、その地域に他のプレイヤーの置いたスパイを取り除いたり……
《誘惑》で後から解決する地域の敵スパイをおびき寄せ、一番欲しい無所属スパイに手出しさせ無くしたり……
おまけに地域タイルは、たとえば【教会】であれば暗殺が無効だったり、【ビーチ】であれば衆人環視なので全部表向きでスパイを置いたり、【カジノ】ではギャンブル(ダイスロール)の結果が戦力に加えられるなど、地域タイルの効果も大事。
そもそも並び方や向きもランダムなので、どのスパイを狙うべきか、何処に最初に置くべきかなどの駆け引きも考慮しなくてはならないのです!
獲得したスパイは次のラウンドから使用できますが、今までいたスパイの誰かを入れ替わりで引退させなくてはなりません。若干デッキ構築風味。
他にもヤバイ奴はいるぞ……
このように、単なるマジョリティ獲得の駆け引きだけのゲームではなく、他のプレイヤーとの能力を読んでの腹の読みあいや、スパイ組織の成長と点数とのバランス配分、真意を隠してのプレイなどの駆け引きもある感じ。
自分の4人だとスパイを配置できる枚数がちょっと少な目なので、お勧めは3人以下のプレイ。
たっぷり思考が必要な、渋めのマジョリティ獲得ゲームとしてかなりオススメいたします。
シティ・オブ・スパイ:エストリル1942
プレイ人数:2-4人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:60分
製作:Stronghold Games
デザイン:アントニオ・ソウサ・ララ、ギル・ドレイ
価格:7,000円+税