今回紹介するのは、病原体の感染爆発と戦うボードゲーム『パンデミック』のダイスゲーム、
パンデミック:完全治療
です。
ボードゲーム版の雰囲気もそのままに、ダイスゲームとしてプレイがしやすくなっています。
なお、『完全治療』と書いて『ザ・キュア』と読む。
ゲームの箱自体は『新たなる試練』(ボードゲーム版)と同じサイズ。
コンポーネントは……
世界の感染率やアウトブレイク回数をカウントするプラスチック製のリングと……
ダイスの目に対応した6つの地域。
北米、ヨーロッパ、東アジア、インド中東、アフリカ、南米
キャラクターカードとそれぞれのキャラクターの専用ダイス
ゲーム自体は元ゲームと同様、敗北条件になるまでに4種類の病原体の治療薬を開発することです。
まず最初に世界は12個の病原体が蔓延している状態から始まります。
出目の地域にこれを配置していきます。
十字の目は数時的には「0」で、この目はわきによけてカードの使用コストにする……のですが、ホントは開始時はふり直し。
同じ地域に4個目のダイスが置かれるようだったら同じくふり直し。
気付かれたと思いますが、病原体ダイスは通常のダイスと目の配置が異なります。
各地域の数字やつながりを考えると、色によってかなり性格が異なるのがわかります……
各プレイヤーは元ゲーム同様、様々な職業を受け持ちます。
衛生兵
現場に駆けつけて、3面ある治療の目、しかも1、2、3で片っ端から人を助ける現場治療のプロ。
防疫の専門家
行った先々で2個以上の病原体があれば自動で治療し、しかもエピデミックが起きても大事にならないよう前もって隔離するいかした奴。
通信司令員
仲間を的確な地域に誘導する専門家。実は治療もちょっと得意。
危機管理官
治療の目は2面だが、もう1面、治療と同じようにダイスを取るけど十字の目でCDCに保存できるイベントのプロ。
調査員
サンプル確保と、どこからでも配送ができる、頼れる女。
科学者
治療薬開発なら任せて! でも飛行機だけはカンベンな!
ゼネラリスト
ダイスが7個のラッキーガール(他の職業は5個)。特別なことはできないけど人一倍何でもできる。
自分の手番になったら、ダイスをふります。
出目に応じたアクションが実行できますので、ゼネラリスト以外は最大5アクション行えます。
注射器は今いる地域の病原体ダイスを1つ治療施設(輪の中)に送るか……
ビンの目で治療施設にある病原体をサンプルにできます。
ただし、このサンプルを封じ込めてる間はこのダイスは使用できないのである……
このダイスはアクションに使っていないものについてはいつでも好きな目=したいアクションになるまでふり直してもよいのですが……
このダイスはふり直せなくなります。
アクションが終わったら、同じ地域にいる他のプレイヤーにサンプルを渡すことができます。なるべくたくさんサンプルがあると次のステップで治療薬をつくりやすくなります。
その次のステップは治療薬の開発ですが、自分が持っているサンプルの、同じ色の病原体ダイスをふって13以上の目が出れば開発成功!
振ったダイスのうち1個は開発完了表示のために置き、残りのダイスと治療施設の同じ色のダイスは袋に戻ります。
今後、薬がある病原体は治療しやすくなります……がボードゲーム版と違い根絶はできませんので注意。
そして自分のターンの最後に感染拡大が置きます。現在の感染率に対応した数のダイスを袋から引いてふります。
十字の目はラッキー! CDC(連邦アメリカ疾病予防管理センター)に置いておき、めくられているイベントカードのコストとして使用できます。
1地域に同じ色のダイスが3個を超えていたらその色の病原体ダイスの「アウトブレイク」が発生します。
多かったダイスを次の地域へ置きます。
アウトブレイクが1個すすむ……
置かれている状態によっては連鎖もあり得ます……青の6でなくてよかった!!
なお、感染率が上昇して赤いマスに入ったら、エピデミック……感染拡大がおきます!
感染の拡大と同様、その時の感染度のレベルに応じたダイスを袋から取って治療施設の中のダイス(地域から治療したダイスを置く場所)とあわせてふって、各地域に配置しなければなりません!
エピデミックマーカーが最後のマスまで進んでしまうか、アウトブレイクが8回起きてしまうか、袋の中から引くダイスが足りなかったらゲーム終了。
流れは『パンデミック:新たなる試練』と同じなので、さっくり覚えられる感じ。
ボードゲーム版と大きく異なる点として、病原体の拡大に関して「絶対大丈夫」が無くなったことがあげられると思います。
元のボードゲームでは、カードのカウンティングで予測がつく部分が、袋の中のダイスの割合と、出目の割合というランダム性により揺らぎ、ドラマチックさがうまれてきます。
かといって運任せなのか、というとそんな訳も無く、各病原体の目の偏りからわかるとおり、現在の各地域への配置状況、袋の中にある各色のダイスの個数等々鑑みて、治療すべきはどの地域のどの色なのかよくよく考えなくてはなりません。
また、自分のアクションに関しても、バイオハザードの目さえ出なければいつでもふり直しほうだいなので、アクション回数が固定であったボードゲーム版より、時にヒロイックな展開(そして悲惨な結末)となる場合があります。
つまり、ゲームシステムでさえも「結果」に介在できない部分があるため、協力ゲームの常々の問題である「奉行」が出ずらいのも良いところ。
また、ダイス目により予想はできても確かなものが何にもないなかで、「どうしてキミはそこに?」「Tell me Why?」なプレイ時の相談がそれっぽくなるのも面白いところ。
それとダイスゲームの常で、敗けたとしても「運」のせいにでき(まぁ、たいていの敗北はリスク管理の失敗が招くのですが……)、結果繰り返しのプレイにつながりやすくもあります。
このような感じで、要所要所は非常に元のテイストを押さえつつ、プレイ感覚は軽くプレイ時間も短めになっており、元ゲームをプレイしたことがある人にはもちろん、初めての協力型ゲームとしてもオススメいたします。
パンデミック:完全治療
プレイ人数:2-5人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:30分+
製作:Z-MAN GAMES
デザイン:マット・リーコック
価格:5,000円+税
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