今回紹介いたしますのは、宇宙を股にかける宇宙海賊として、主に交渉と裏切り焦点を当てた
メタルアドベンチャー
です。
もともとはフランスのTRPGなのですが……フランス語なんでさっぱり分かんない。
日本ではいまいち人気のないSFテーマに海賊テーマ……その両方のアスペクトを持つのが宇宙海賊テーマ(日本人にとってはどっちも現実感のない「子供のためのおとぎ話的テーマ」、という感覚があるせいじゃないかと分析しておるのですが……)。
パッケージの端々のイラストからあふれるテイストでお分かりかと思うのですが……
フランス人、宇宙海賊キャプテンハーロックとか、宇宙海賊コブラとか、キャプテン・フューチャー(アニメ)とか見て育っているんでこのテーマ大好きなんですよ!
帝政太陽圏(退廃貴族たちが無気力な統治をしている……ハーロックっぽい)と銀河帝国(もちろん軍事国家!)が覇権をかけて戦争を続け、辺境は荒くれ者たち(スペース蛮族)がうろつき、OCGが国家の枠を超えて銀河の経済を牛耳っている……
そんな中でプレイヤーたちは海賊として栄誉を高めていくのです!
具体的には9点まで!
これがキサマらがまたにかける銀河だ!
なお、いける場所は少ない……
ボードはカード置き場的な使い方しかしないのだ。
そしてオマエら海賊たちの相棒、銀河をかける海賊船だ!
裏の方にはこんなにみっちりフレーバーテキスト。
なお、各海賊船とも戦力は同じだけど、特殊能力がそれぞれ違う。
プレイヤーのパラメーターは、「パワー」と「補助パワー」、「ダメージ」、「栄誉」、「海賊の裁き」の4つ。
パワーはそのまま戦力で、補助パワーは誰かを戦力的に援ける場合の数字。
これらはダメージを受けると下がりますが、ダメージは4点までしか受けません。
栄誉はゲームの目的で、誰よりも早く9点溜めるのが目的。
ただし、海賊として仲間を裏切ったり上納金を払わないと、「海賊の裁き」を貰って栄誉点が下がります(最大4点)。
このダイヤルは使い勝手がいいかと言えば悪いのですが、カッコイイから好し。
それがフランスゲー。
あとは3銀河クレジット/GC/¢と称号カードを2枚(3枚引いて1枚戻す)持ってゲーム開始。
称号カードは自分のターンでも他のプレイヤーのターンでも、そこに書かれている条件を達成すると、栄誉点とあれば¢が貰えるというもの。
ただし、1ターンに1枚しか公開できない。
自分の手番には、
1)休む
2)海賊稼業(+星を巡る)
の2通りの選択肢があります。
1)を選ぶと、惑星ハバナでのんびりしたあげくに2¢もらって船は完全オーバーホール……などなど至れり尽くせり。
とんだホワイトっぷりです、宇宙海賊。
あとゲームボードはカード置き場兼早見表。
2)を選ぶ、つまりこれからは海賊の時間となります。
戦闘は必ずやらなければならず、遠征はやってもやらなくてもよし。解決の順番は自由となっておりますが……中央の海賊ギルドに上納金1¢は忘れず払うこと。
払わないこともできますが、その場合は「海賊の裁き」を1貰います。
あと、一番弱い海賊は払う義務はないので注意。よわっちい奴にはお情けだ!
まずは戦闘。
戦闘は襲うモノがいくつか別れていて、
1)普通に船を襲う
2)捨て札になった船をカロカムに金を払って追い詰める
3)他のプレイヤーと決闘
4)エグザリア、バザール、カロカムの各惑星
……のうちいずれかを襲う事になります。
船を襲う場合は船のデッキから3枚引いて、どれかを選ぶ仕組み。
選ばれなかった船はカロカムの捨て札置場に。
船には所属とパワーと報酬が書かれております。
自分のパワー+オレンジダイス≧襲われる船のパワー+グレーダイスで勝つことができて、船のカードは「残骸」として手元に加えます。
(敗けるとダメージを受けます)
捨札となった船を2¢払って襲うことも。
理由はあとでわかる。
惑星はパワー14とか16とかありますが、勝てば各惑星ごとに決められている報酬+溜まっているクレジットが貰えます。
決闘は、勝てば溜まった海賊の上納金が全部いただける上に栄誉が1点貰え、さらに攻撃側で買っていた場合には、負けた側の金の半分/アイテム1つ/支援者1人/残骸1枚のいずれかを奪えます。
この時、勝てないような数字の強大な相手に挑む場合、さらに戦力を向上させる手段が2通りありまして、この2通りのうちどれか一つか両方をつかうことができます。
・メタルファクターダイス
火事場の馬鹿力的なダイスで、無地の面の時だけふることができて出た目の分だけ戦闘の数値に追加できるけど、次の戦闘までその目は維持され、次の戦闘の時にはその目がマイナスとなるというダイス。博打を打った後は、他の海賊から襲われやすくなる、ということも意味してるのだ……
おう、負けたうえに-4修正をしばらく受けるのか……
またふれるようにする=無地の面にするには、マイナス修正で戦闘を1回こなすか、惑星ハバナで休め。
・助けを募る
条件は何でもいいので、他のプレイヤーの助力を請うのだ!
助けてくれた場合、助けてくれるプレイヤーのパワーの約半分の数値の補助パワーを加えることができる。
しかし問題は、裏切る可能性があること……助ける側も、助けられる側も。
「やはり敵につくわー」
「勝ったけど金ははらえねェ」
「次は助ける? そんなこと言ったっけ?」
などなど……約束が不履行となった時点で、約束を破った側は「海賊の裁き」を1点貰います。
なお、恥1点=-1栄誉点であり、4点たまると協力も助力もできなくなります。まぁそうだわな。
もちろん助けを得たが負けたときには報酬は払う必要がありません。海賊の世界は成功払い。
しかし、裏切る側にも利点があって、船を襲う時に裏切って勝ったのなら、その船の¢報酬を、惑星ならその惑星の金銭報酬をまるまるもらえるのです。
戦闘が終わったら、もしくは戦闘の前に海賊の航海に出て各惑星で買い物をしたり船を修理したりできます。
惑星エグザリアでは船を修理したり新しい称号カードを獲得したり……
OCGでは同じ所属の残骸3枚で報奨金と栄誉を得たり(ちゃんと私掠稼業をしている! あと残骸のマークをそろえるために金を払って特定の船を襲ったり、残骸を交換するアクションがあるのだ)装備を買ったり人(使い捨て)を雇ったり……
バザールでは捨札=在野となった人をチョットお高く雇ったり、「海賊の裁き」を2¢で1点減らしたり……
カロカムでは手持ちの残骸を捨て札の山の残骸とお金を払って交換したり(OCGで3セットそろえると報奨金と栄誉に化ける……金を払って捨て札の山の宇宙船を襲うのも同じ理由)、残骸と¢を合計6になるように払って豪遊して栄誉を1点得たりできます。
この時重要なのは、(金さえあれば)すべてのアクションを行うことが可能ですが、一方通行である点。
ベルトコンベア式にずらっと並んでいるアクションを実行していきますが、さかのぼることはできません。
ルールは実はザックリこれぐらい。
ゲームは誰かが栄誉9点に達するか、宇宙船カードが2枚以下になったら終了。
展開としては、船を襲いつつ小金を稼ぎ、称号カードの条件を満たして栄誉点を貯め、各惑星や海賊ギルドに貯まった金が十分になった頃合で、惑星を襲う大仕事をしたり、他の海賊を襲うことになります。
宇宙船のカードの山は、減るにしたがって強力な船があふれかえり、終いには海賊ハンターがうろつきはじめます(こいつらはめくった時に選ばれなかったら、捨て札にならず山札に戻るのだ!)。海賊が航路を荒らしまわってるんだからかなりリアルな展開です。
さすがに強い。
でも、海賊ハンターと戦うために戦力を借りたら、そいつは裏切れない(=ハンターの味方には回れない)のでちょっと安心だ。
そしてこのゲームで重要なのは同盟と裏切り。
勝利のためには栄誉点を貯めなくてはなりませんが、その1点の価値をどう見極め、手に入れ、売りつけるかということ。
同盟共闘者を募って報酬を分けることで栄誉9点に早く近づくのか、装備を強化しつつ自分一人で戦いに出るのか――「海賊の裁き」は2¢で打ち消すことができ、6¢で豪遊すれば1点得られることを鑑み、人を雇う時はいくらの報酬を約束するべきなのか、雇われる側は裏切るべきなのか判断する――ゲームのシステムはそれほどで複雑ではありませんが、交渉の場は白熱し、ダウンタイムはほぼない状態です。
プレイ感覚はシンプルで、交渉ゲームが好きな方はもちろんですが……とにかく宇宙海賊テーマ。
宇宙の海は俺の海てな感じでロマンを追求したい方や、青い銀河を背にしたい人、ドカーンと星屑蹴散らしたい方、裏切ったあげく「腹を立てるとなにをするんだ? うさぎとワルツでも踊るのか」と挑発したい方々にはかなりオススメいたします。
メタルアドベンチャー(Metal Adventures)
プレイ人数:3-6人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:45-60分
製作:Matagot
デザイン:リオネル・ボーグ
価格:7,000円+税
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