ロール&ロールステーション秋葉原店さんのピクトマニアのイベントでもちょっとお話しましたが……
明らかに日本と海外とでは、人気のテーマが異なりまして、日本ではかつてブームになった西部劇はあまりなじみが無いからか人気もなく(ただし、人気のテーマに各メーカーは自信作を投入しているわけなので、ゲームとしては面白いモノが多し……『カーソンシティ』とか『ダイスタウン』とか話題にあまりならないけど面白いよ!)。
あと、海賊テーマ。
アメリカ人にとっては短い自国の歴史の中でも、その黎明期にあたるわけで人気があるテーマ。『海賊と商人』とか典型的なアメリカン・パイレーツゲーム。
また、アメリカ独立とも密接な関係にあるフランス人にとっても(ニュー・オリンズあたりは元仏領だし、)、カリブ海の覇権を競っていた黄金時代なわけで人気のテーマ。
リベルタリア
もそんなゲームです。
プレイヤーは引退間近の海賊船船長となり、30人の部下を率いて最後の商船襲撃遠征航海に3回出ます。
そこでできるだけがっぽりと儲けて、引退後の余生を過ごす伝説の海賊の安楽地、リベルタリア(自由の国)を作り上げようというのです。
ゲームは3週間(3ラウンド)行われます。
プレイヤーはまず30枚のカードが配られますが、1ラウンドで使うカードは9枚だけで、1ラウンド目は全員同じ手札でゲームを開始します。
手下は一番下っ端の「オウム」(名前はポリィ)から、最強の「スペイン総督」まで序列が決まっています。
基本は月曜日から土曜日までの毎日(ターン)、このうちのどれかのカードを出して、強い順に略奪品タイルを1枚取っていくこと。
(同じ種類のカードにも、選んだ海賊によって序列がありますので必ずカードの強弱はきまります)
ただし……
1)略奪品は価値のあるものだけではない
略奪品はランダムに、人数に等しい枚数だけ、各曜日に最初に配られます。
しかし高価値の「宝箱」から、「宝石」、「商品」、3枚そろってはじめて高価値となる「宝の地図」、マイナス点の「呪われた財宝」、価値はないけど隣のプレイヤーの使用済みの海賊を殺せる「サーベル」、使用した海賊カードが使用済みにならず殺される「スペイン人軍人」があり、当然高価値のものから取られちゃうので、その曜日(ターン)によっては必ず○○位以上になるカードを出さなきゃならなくなるわけです。
2)海賊にはそれぞれ得意なことがある
しかし、海賊には強弱があるだけではなく、特殊能力があります。
その曜日に出す海賊カードを決めたら、序列順に並べます。
先に解決するのが「昼能力」。これは昼能力を持っている弱い順に解決するのですが、『一番序列が大きいカードを殺す』などといったものもあるので出す順番によっては、一番序列の大きいカードを出したプレイヤーは略奪品タイルの分け前にありつけないことになります。
次に「宵闇」。
カードの序列が強い順に、その曜日の略奪品を1枚取りつつ、「宵闇能力」を解決し、使ったカードは『海賊の本拠地』に置きます。
宵闇能力には『略奪品を2枚取る』なんてのもあるので、順番によっては最下位の人は1枚も略奪品が手に入らないかもしれません。
最後に「夜」
夜には『海賊の本拠地』に置かれたカードの夜能力が発動します。
たとえば、『2ダブロン得る』とかシンプルな能力が毎夜発動された場合、点数にならなくても「サーベル」を取りたくなるし、「スペイン人士官」が多い曜日には、せっかくの夜能力を持っているキャラは死ぬ可能性を考えると出したくなります。
そして最後の日曜日には帰港。
ここで集めた略奪品タイルのを点数に清算しつつ、海賊の本拠地にいる海賊で「港能力」の持ち主の能力を解決します。
たとえば、『8ダブロン得る』とか、こいつは生き残らせちゃだめだ、という気分になります。
そして死んだ海賊と海賊の本拠地で生き残った海賊はゲームから取り除き、略奪品はまた袋に入れて再配分、そして全員同じ種類の海賊カードをまたランダムに6枚補充して翌週スタート。
これを3週分やって、得点を最も獲得したプレイヤーがリベルタリアを建設できるのです!
自分のすること、すべきことを把握するまではピンと来ないかもしれませんが、一度カード能力を把握すると、することは基本ベストなカードを選んで出すだけだし、それをルールに従って解決するだけなので実にシンプル。タイムラインの紹介でも書きましたが、このところのフランスゲームの流行に忠実に、ルールは軽くて簡単なわけです。
が、キャラクターの能力が悩ましく、簡単なルールも相まって腹の探り合いが楽しめるゲーム。
テストプレイした人も、かなりの率で絶賛しておりますので、テーマがピンとこないという人も是非お試しください。
もちろん、海賊テーマ大好物ですという人は、能力とも関連したフレーバー文も読めばさらに楽しめますし(それほど難しい英語じゃないんでご安心を / 今回は豪華フルカラーのA4ステッカーシート8枚と出血大サービス。フレーバーも付ける予定でしたが予算と厚さ的に限界なので泣く泣く割愛)、お勧めいたします。
p.s.できれば4人以上でプレイを。少人数だとちょっと面白さが減っちゃいます。
6人オススメ!
リベルタリア(Libertaria)
プレイ人数:2-6人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:約40-60分
ゲームデザイン&イラスト:フェリペ・デパィエール、エルヴェ・マーリィ
製作:Marabunta / Asmodee
価格:5,600円+税
ついでにフレーバー的にわかりにくい部分をちょっと解説……
鸚鵡(Parrot)のフレーバーは鸚鵡が覚えた言葉。
「ポリィ、もうビスケットいらない!(Polly doesn’t want a CRACKER)」
というセリフは、海賊は固く焼しめたボソボソしたパン(クラッカーと言いますが乾パンみたいなの)にしょっぱい塩漬けの肉を載せて、水は腐るのでラム酒で流し込む、野菜は腐りかけた玉ねぎくらい、という食生活。
当然「もう食べたくない!」となるわけです。
人魚(Granny Wata)は詳細は調べきれなかったのですが、直訳すると『水のばあさま』。
loaはヴードゥーの精霊というか神様みたいなもので、カードのフレーバーは
「私がloaみたく守ってあげる」
というもの。守られるとお金が毎夜入ってくるありがたいカード。
船医(Surgeon)は、壮絶な絵ですが、外科医、というかやることは大工。
フレーバー文も、(足を切り落として)「ほぅら、新しいあんよができたぜ」と義足を渡してくれるというもの。
フランス人士官(French Officer)はフレーバー文で海賊免許の話をしております。敵はスペインですが、欧州の英・仏・西・蘭の覇権争いはカリブの海まで届いていたわけです。
海賊免除・私掠船免除というのは、「敵国船に対しては海賊行為をしてもいいよ」というお墨付き。なのでこのカードを使うと国から援助が出るのです。
女給(Waitress)は、フレーバー文で非常になまった英語でしゃべっております。
曰く、「あたい字が読めないけどぉ、これってお部屋にかざったらいいかんじよねー↑」
と言って、3枚そろえば12ダブロン手に入る宝の地図を1枚捨てて3ダブロン得るわけです。