おお自由よ、汝の名において何と多くの罪が犯されたことか!『リベルテ(Liberte)』


エジプトの次はリビアの騒乱で、フンタに注目が集まる昨今、今回紹介いたしますのはこれまた革命政治モノ、「自由」の名の下に、政府が倒されたフランス革命後、恐怖政治吹き荒れるフランスでの穏健派王党派革命派の政争がテーマのゲーム、
リベルテ(Liberte)です。


プレイヤーはフランスの州(当時の行政区分では『州』でした)に、フランス革命での著名人たちを現しているカードをプレイすることで穏健派王党派革命派の派閥ブロックを置いたり、戦闘を行ったりすることで、勝利点を獲得していきます。なお、負け戦は革命派から王党派に人心が移ってしまうので後述の王党派サドンデス勝利に注意です。
選挙は州ごとに多数派をが選挙に勝ち(同点になることが多いが、カードプレイで同点の勝敗を決める)、全州の勝利数を派閥ごとに集計し、最も州での選挙に勝利している回数/議席数が多かった派閥が与党になります。

各州には各派閥コマはそれぞれ1山しか置かれず、その数も3個が上限。派閥の支配も1人のプレイヤーからしか受けないので、勝たせたい派閥を支持するでもいいですし、他のプレイヤーに支配させたくない、負けさせたい派閥コマをあえて少ない数で出すのもアリ。

1~3個と置ける派閥コマの数に幅が無いため、頻繁に同点になりますが、その場合はカードを使って同点を処理します

勝利ポイントは、このようにして行った選挙の結果決まった与党の勝利に、どれだけ貢献していたかで決まります。
いやらしいのは、与党に1番貢献したら5点、2番目で2点、2番目に投票が多かった野党に最も貢献したプレイヤーには3点与えられるところ。

他にも戦争に将軍を差し向けたりすることでも勝利点は獲得できます。

 

ゲームはこのように4回のターンを行って、勝利点を最も獲得したプレイヤーが勝利するか、

1) 革命派が17議席、つまり、27議席のうち過半数を獲得したら、どれだけ革命派に近かったかと言う赤のポイントが最も多い人が勝利点に関係なくサドンデスで勝利してしまいます。
もしくは、

2) 王党派の州+負け戦数が一定数王党派の支配下となった場合は、逆に革命は覆され、サドンデスでどれだけ王党派に近かったかと言う、白ポイントが高い人が勝利してしまいます。

これらのサドンデスがあるので、よくよく考えて立ち回らないと「点数は取ったのに負け」と言うこともあります。

他にも「食糧不足(パンが不足)」や「ギロチン」、「恐怖政治」などのイベントカードがこの時代のフランスらしさを再現します。
なお、カードに登場する人物の中には、「ナポレオン:獅子の時代」とか「ベルサイユのばら」とかのファンにはおなじみの時代でおなじみの人物が出てきますので(ベルばらはこのゲームの前の話ですが)これらのマンガのファンはかなり楽しめるんじゃないかと思われます。

でも有名人はともかく、その殆どが日本では有名ではないので何者なのかわからない……ネットでもフランス語のwikiしか見つかんない始末。
一応カード対訳表を作りましたので、後は何をした人なの調べてみるのも一興。
 ※ミスがあったらお知らせアレ。
個人的には『質量保存の法則』のラボアジェもカードになっててびっくり。なお、ラボアジェもギロチンにかけられています。

影響力を置いて支配を獲得していくタイプのゲームが好きな方、フランス革命史が好きな方、ナポレオン崇拝者、ロベスピエール崇拝者、マーティン・ウォレス崇拝者の方にオススメです。

リベルテ(Liberte)
プレイ人数:3-6人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:90分
ゲームデザイン:マーティン・ウォレス
製作:Valley Games
価格:7,600円+税

オマケ
俗語論はもっと謎に満ちている……イベントにさっぱりわからん物が多い。

1:Filocolo
フィレンツェの詩人にして『デカメロン』で知られる、ジョヴァンニ・ボッカッチョの著作『フィロコロ』より。中世文学代表作。これは何とかなった。

2:Mercis
不明。まったく不明。

3:Nataro Giacomo
公証人ナターロ。レンツィーニ家のジャコモ。シチリア出身。プロヴァンス風の軽快な詩を書いたシチリア派詩人。らしい。

4:Commercium
不明。だれ? それとも何?

5:Dante Alighieri
『神曲』で知られるダンテ・アリギエーリ。このゲームのタイトルともなっている『俗語論』の著者でもある。

6:Rerum Vurgarium
不明。『俗なる事柄について』の意味? 教皇の回勅からか?

7:Thesaurus Belli
不明。Thesaurosはギリシア語で宝物庫の意味。Belliはラテン語で戦争の意。ネットで検索しても、ゲームの記事しか見つかんない。

8:Artes Dictandi
不明。Artesは芸術、技。Dictandiは教本などの意。そのものずばり、このタイトルの著作があったのかも不明……。

9:Chanson De Roland
古フランス語で書かれた叙事詩、『ローランの歌』。中世文学代表作。

10:Stupor Mundi
『世界の驚異』こと神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世。宗教的な寛容から破門を2回もされているが、学識、合理性、科学的好奇心から『世界の驚異』と呼ばれた。
近代的合理主義を備えた君主。

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