元タイトルの直訳は『戦車競走』……いま『戦車』と言うと装甲戦闘車輌(TANK)ですが、こっちは古代中央アジアに端を発した何頭かの馬に引かせた二輪の馬車こそが『戦車(Chariot)』で、古代世界ではメジャーな存在でしたが、騎兵にとってかわられてしまった兵科で、ローマ帝国ではそんな『戦車』のレースを娯楽としてローマ市民に提供しており、その最大の競技場が
『キルクス・マクシムス』
で、ローマの戦車競技のレースゲームです。
ゲームボードはオーバルのコース。
マス目が互い違いになっているので、コースチェンジしつつ前進を表現できるし、微妙にずれているので同着は起きない。
自分の戦車は、耐久度と幸運値、現在の速度、鉄びしの数のパラメーターがあり、鉄びしはトークンですが、残りの数値はシートにクリップで記録します。
なお、各チャリオットの裏はそれぞれ性能の異なる上級者向けとなっております。
耐久度は、コーナーでスピード出し過ぎたり(ドリフト状態で回るので、車輪や車軸に負担がかかる)、鉄びしを踏んだり(馬の脚に刺さると痛い)、他の戦車にぶつかったり(接触はルール違反ではない)、槍で攻撃されたり(攻撃はルール違反ではない)、ダッシュする(と馬の息が上がって)ダメージを受けます。ダメージが蓄積し過ぎると、最大速度が下がってしまいます。
幸運度はダイスをふり直したり、ダイスの目を操作したり、ダメージを修理するのに使える値。
速度は、現在の速度だけ前に進む義務がある値。レースなので速いほうが嬉しいけど、コーナリングで速すぎるとダメージ受けるし操縦しにくいし、ダメージ受けすぎると最高速度が減る。
ルールは簡単で、先頭のプレイヤーから順に手番を得て、修理の処理(幸運点3で、ダメージ3回復)をして、ダメージに応じた速度上限より今の速度が早かったらそこまで速度を下げて……現在のスピードに応じた個数の手綱さばきのダイスを振ります。
このとき、スピードが速いと操縦が難しくなるのでダイスは減ります。
速度4なら5個ふれる。
ダイスをふったら、好きな数のダイスのふり直しが1回だけタダでOK
それでも気に入らなければ、幸運点2点で好きな数のダイスをふりなおしたり、幸運1点でダイス1個を好きな目にすることも可能。
速度変更の目の解決をします。
左は加減速1、右は鞭入れて加速2+ダメージ1。
初期速度の4から7へ加速だ!
うぉぉぉ! 戦車はスピードだ!
移動は現在の速度の分だけ必ず前進しなくてはならず……
レーン変更はレーン変更のダイスを使わないとできません。
これで2マス移動……あと5マス進まないとダメ。
コーナーで速度超過をするとダメージを受けますし、他の戦車とぶつかっても(他の戦車のいるマスに侵入)ダメージを受けます。
3マス目、4マス目、5マス目でコーナー突入!
速度7で制限速度5のカーブなので、2ダメージ受ける……まだ大丈夫!
鉄びし/槍の目があるなら、それを使って鉄びしを撒いたり、槍で攻撃できます。
槍で突っつける相手がいないので、鉄びし撒く! 踏んだら1点ダメージだ!
と、こんな感じで進行します。
後続車両は追突しないように移動しないと(もしくはわざとぶつけると)2ダメージ双方が受けます。
戦車の耐久力が0になるとその戦車はレースから脱落し、ただの障害物になります。
ゲームは誰かが2周目のゴールラインを切ったラウンドで終了し、ラウンドの終了時に最もゴールラインより遠いプレイヤーが勝者となります。
周回マーカーは、わかる人にはわかる。
今の速度からコーナリングを考えて、後続のラインをブロックし、あわよくば攻撃!
ダメージを受けずに誰よりも早く2周回りきるのか……ダメージを与えてライバルを蹴落とすのか?
レースゲームは何をするべきなのかも理解しやすく、また「現在の勝敗」も視覚的に明確な点が良い点なのですが、そこに直接攻撃やダイスによる手綱さばきのままならなさがありつつ駆け引きも熱く、比較的短時間で終わるので、ゲームのビギナーなんかも誘いやすい感じとなっております。
特に、映画の『ベン・ハー』(のクライマックス)を見るだけでどんなレースか解るし盛り上がるので、プレイ前に見ておくことをお勧め。
(2016年版ってあったのか……)
ゲーム自体はコンパクトだし、ルールも簡単で手軽で手に汗握るレースゲームとしておススメいたします。
プレイ人数:2-6人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:30-40分
製作:Pegasus Spiele
デザイン:マット・リーコック
価格:3,600円+税