今回紹介しますのは、年末クリスマス時期というめでたい中発売となりました
7月革命翌年の1831年、フランスの小さな村、ペールベイユの貧乏な小作農であるプレイヤーは財を成すため、宿屋を経営して旅の宿泊客から金銭を盗む――のは不道徳なので殺してから所有者がいなくなった金銭を良心を痛めることなくいただくことにしました。
という設定のブラックなテーマのカードゲーム。
プレイヤーの目的であるお金は、主に宿泊客を殺して、埋めることで獲得できるのですが、毎ラウンド2回のアクションを実行するためのコストは手札のカードであり、手札のカードとはすなわち報酬のため協力者となった客。
また、警察が来た時に死体を建物に隠すことができないと、村の墓掘り人に1体あたり10フラン払わなければならないハメになるので、警察の捜査が始まるまでに、これまた協力者に死体の隠し場所となる建物を何とかしてもらわなければならない仕組み。
宿屋と獲物(もしくは協力者)となる客たち。
青は<商人>、赤は<職人>、灰は<警官>、紫は<宗教家>、緑は<貴族>、黄は基本手札の<小作農>。
下にある記載は、その客で建設できる施設とランク
。
ランクは雇ったり施設のためののコスト表記であり、施設として建てた後は死体を隠せる数でもある。
お金の表記は、所持金。
裏面は死んだあと。
棺桶の数字はその客のランク、下の数字は所持金。
ランクは埋葬するために必要なコスト表記で、所持金は埋葬してはじめて現金化できる。
最初にプレイヤーが持っているのは、「納屋(兼早見表)」と小作農の協力者。
宿屋は8部屋あるけど、最初は各プレイヤーの担当の部屋が1室ずつと、中立の部屋がプレイ人数に応じて3~4部屋用意されています(鍵トークンで表示)。
プレイは夜→深夜→朝の順に進行します。
まず「夜」が来て客が訪れます。
スタートプレイヤーが、使用している部屋に客をご案内……
「深夜」のステップでは各プレイヤーはスタートプレイヤーから順に時計回り順でアクションを2回実行します。
アクションの種類は、
1)客の買収……犯行の手助けをさせます。
つまり、手札に加えます。そのほかのカードは捨て札、つまり出口から出ていきます。でもそのためにはコストとして手札を捨てなきゃ。
2)追加設備の建設……共犯者に設備を使わせてもらったりつくてもらったりします。
つまり、自分の前に出して置いておくことができます。でもそのためにはコストとして手札を捨てなきゃ。
3)客の殺害……サツガイ! 客を選んで裏返して手元に置く。
つまり、「死体」にして手元に置きます。問題は、警察に見つからないこと……もちろん、殺しにもコストとして手札を捨てなきゃ。
4)死体の埋葬……死体を隠します。
死体はいずれかの設備の下に金額が見えるようにずらして置きます。お金は埋めた人とその設備の所有者で山分け。死体は設備のランクの数だけ隠せます。
やっぱりコストとして手(ry
なお、これらのアクションに使った共謀者である手札のカードは、それぞれ得意なジャンルがある場合があって、得意なものに関しては手札に戻ります。
職人は施設を建てるのが得意。宗教家は埋葬が得意。商人は共犯者をつくるのが得意。警察は殺しが得意。
なお、貴族は得意なことはありませんが、建物面で協力していただけると即金をくれたりします。
小作農は使っても捨て札にならず、宿の酒場で飲んだくれてくれる上に、買収する時はコスト0で2枚まで手札にできるので、労働力として魅力。
5)パスおよび資金洗浄……盗んだ金を怪しまれないように小切手化
大量の現金を持っていると怪しまれるため、お金は40フランまでしか持っておくことができません……このアクションで小切手化しましょう!
なお、1~4のアクションのコストはカードのランクに応じた枚数の手札を捨てること。カードのランクは0から3まで。
全員が2回アクションを実行したら、朝が来ます。
「朝」が来たら、
・まず宿泊していた警官が居たら捜査が始まります。
(埋葬していない死体を持っていたら、10フランでこっそり村の墓に葬らなくてはなりません。結構支出が痛い。)
・次に、それぞれ担当の部屋に客がいるプレイヤーは、まっとうな労働の対価として1フランをもらいます。
・そして、手札のカード1枚、つまり共謀者1人につき1フランを支払わなくてはなりません。
そのあと客は全員出口から出ていきチェックアウト、つまり捨て札置場に置かれます。
これを繰り返して、2回山札が尽きたらゲーム終了です。
つまり……
アクションのコスト=手札からカードを捨てる
手札のカードの維持費=お金=得点
という構造の中、
手札の枚数はアクションコストに直結していますが、無駄に手札にあるとお金を使わなくてはならず、設備の効果と死体を隠せる枚数は非常に重要ですが、共謀者として手札にしたあとで、さらに手札を支払って建てるためアクション数が若干かかってしまいます。
殺した客は、死体として持っているだけではお金になりませんので、埋葬はしなくてはならず、特に宿泊客の中に警察がいて、何とかしない場合の損失は大きなものとなります。
しかも、資金洗浄をしないと40フランまでしか持っておけないため、いつかは資金洗浄をしないとダメな時が来ますが、貴重な1アクションをも使うことになります。
ということを、ざくっと得点ルートを想定して、その計画に沿うように手札や施設などをマネジメントしていく感じ。
そう、本質はアクションとお金と手札と設備いうリソースをどう変換していくのかマネジメントするゲームであり、そのリソースが殺人・死体遺棄などを手伝うかもしれないし、殺害対象になるかもしれない宿泊客であるという点は特異なテーマですが、ルールは軽めでコツコツアドバンテージを稼ぐシステムが合致してサクサク遊べる感じ。
派手な展開と言うよりも、淡々じわじわと悪事を重ねる展開となり、そこもフレーバー的にもぴったりなので、リソースマネジメント系のゲームが好きな方で手軽なカードゲームをお探しの方にはもちろん、不謹慎ネタ好き、海老の出ない宿屋はまっぴらだという人には強くお勧めいたします。
ブラッディ・イン
プレイ人数:1-4人
対象年齢:14歳以上(フレーバー的に)
プレイ時間:45-60分
製作:Pearl Games
デザイン:ニコラ・ロベール
価格:4,000円+税
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