オラ、見ただよ!『第51倉庫』


年末も差し迫っておりますが欧米の版元はクリスマス休暇でいなくなってしまいますのでいろいろピンチです。
しかも彼らは正月は休まないのでさらにピンチです。
さらに、中国の旧正月も2月8日なので、もっとピンチです。

と、いうわけで今回紹介いたしますのは、2038年に国家的なピンチを乗り越えられなかったアメリカ合衆国が密かに集めていた財宝をオークションにかけるゲーム、

第51倉庫
です。

なお、当社の入稿ピンチはあと一つ……

さておき。

51倉庫こそあの○ンディ・ジョーンズの1作目で、アークがしまわれたあそこであり、あの広大な倉庫に眠る秘宝を、プレイヤーが競り落とすことになります。

宝物は、こんな感じの、古今東西の神話級の宝物。4つの地域からこんな宝が26種類も!

天沼矛に八咫の鏡……アメリカとんでもねぇな!!

プレイヤーはこの宝物を競り落としていくことになりますが、単純にその価値を競うのではなくゲーム終了時に……

残った金塊5個で1点、

集めた4色のカード1枚ずつのセット1つにつき5点、

各色の価値の合計順1位、2位は8~3点を獲得し、この合計得点を競うのがゲームの目的。

この場合、左は8点、中央は6点、右は0点。

最初の所持金は10金塊で、カードは各色どの価値が何枚あって、何点になるかの表がプレイヤーボードにあります。

加えて、各プレイヤーは「あれは実は贋作」という情報をこっそり持ってゲームを始めます。

これが贋作カード。

これを各プレイヤーの間に裏向きで1~2枚配り、その後自分の隣にある贋作カードの中身をこっそり確認します。
つまり、それぞれ隣の人とは偽物情報を共有しているわけ。

例:A、B、C、Dの4人で遊んでいる場合、A-B間に1枚、B-C間に1枚、C-D間に1枚、D-A間に1枚贋作カードを置いて、それぞれが自分の隣にあるカードをこっそり確認できるわけ。

例えば、聖杯が偽物であると知っている状態で、どうふるまうべきなのか?
自分以外にも聖杯の偽物情報を挟んだ隣のプレイヤーも知ってるけど、どうする?!

ただし贋作カードのない宝物もあり、つまり、そのような宝物は絶対本物であることが保障されていることになります。

アークには偽物ないのか……

贋作はゲーム終了時確認し、贋作は捨て札になって得点に何ら関与しません。

宝物の山は地域別にシャッフルして4つの山にし、前回の競りで買ったプレイヤーがそのラウンドのスタートプレイヤーとなり、いずれかの山を選んでめくり、出品します。
あとは、オークションを毎ラウンド1枚ずつ行い、すべての秘宝が競り落とされるまでゲームを続けるのですが、ここからがチョイ変わっている点。

競る秘宝ごとに、オークションの方法が変わります。
公開オークションはスタートプレイヤーの左隣から競り値を付けていき、非公開オークションは手に支払う金塊を握って一斉公開。これは競るアイテムにより異なります。

握り拳のマークがあれば、非公開オークション。そうでなければオープンオークション。

なお、支払いはなぜかアメリカの国庫ではなく、左となりのプレイヤーにお支払い
つまり、何も無ければ総流通金塊数は変化しない、ということ。
流通資金を増やす手段として、途中金塊が無くなったら競り落としたカードを質入れして5金塊入手できますが、ゲーム終了時に10金塊で買い戻さなければ得点にならないうえに、呪いは残りますので注意

そう――宝物は、祝福されていたり呪われているのがもう一つの変わったところ。
文字通り、祝福は競り落としたときに良いことが、呪われていたら競り落としたときにろくでもないことが身に降りかかります。

左は呪われた品、右は祝福された品。
呪いは獲得した次のラウンドのオークションに参加できなかったり、同点の競りで負けたり。
祝福はゲーム終了時に偽物判定が出たときにその偽判定を打ち消したり、追加で得点を得たり。


このカードパワーも考慮しなけれならない点。

こうやってオークションを全て終えたら、質入れしていたものの買い戻しや、贋作の確認をし、得点計算をする、という流れ。

流通金塊数が決まっている中の競りで、オーソドックスなセットメイキングの要素に加え、アメゲーお得意のカードの固有能力の要素、推理系ゲームのような隣のプレイヤーとだけ共有する秘匿された情報の要素などがあり、各宝物の競りの際に「今は金塊を獲得すべきなのか入手すべきなのか」、「次のラウンドでどの山をめくるのかもしくは他の人はどの山をめくるつもりなのか」、「カードパワーを考慮すべきか、否か」、「どのプレイヤーとは当面協調しどのプレイヤーと敵対するのか」……なんていうことを考慮する必要があり、値付けの軸が1本だけではない感じの競りゲームとなっております。

ルールも簡単だし、フレーバー的にもユニークなものですので、競りゲームが好きな方にはもちろん、今まで競り系のゲームをしたことがない方にもオススメです。

第51倉庫(Warehouse51)
プレイ人数:3-5人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:30-45分
製作:Fun Forge
デザイン:ブルーノ・フェイドゥッティ、セルジオ・アラバン、アンドレ・ザッツ
価格:3,500円+税