かつて、ゲームセンターと言えばシューティグゲーム全盛の時代がありましたが、ゲームセンターのゲームは家庭用ゲーム機に移植・フィードバックされ、ほぼ世界中の特定年代の人たちにとっては共通体験となっています。
特に、北米は日本のアーケード・家庭用ゲームの影響は強く、その8bitや16bitゲームの洗礼を受けてきた世代は今や消費者ではなく、世に自作品を問う世代となっております。
例えば、『ルーニークエスト』は面クリア型のアクションゲームの影響を色濃く受けていますし、『Pix』はグラフィックの面でドット絵なかりせば、というものです。
そして、おそらくこの「デジタルゲーム世代の送り出すアナログゲーム」という流れは今後も続くと思われます(特に、ドイツ以外の国に注目ですよ)。
さて、今回紹介いたしますのもそのようなデジタル世代直撃、1980年代末から90年代頭にゲーセン通いをしていた人の心の棘を刺激しまくる、あの日本国内では少数ロケテストで消えて行った幻の縦スクロールシューティングゲームをアナログゲーム化した
ケンブルカスケード
です。
※あくまで「幻」なので実際にはそのようなゲームは存在していませんでしたので注意。
パッケージもちょっと痛んでいる風でレトロ感を演出。
さて、ゲームは縦スクロールのシューティングゲームをアナログゲーム化したもの。
ゲームの目的はもちろん、ハイスコアを取ること。
これが自機のシート。
翻訳は必要最低限のみにとどめております。
自機の最初の武装は4方向に向きを変えるショットのみ。
※ダイヤルスイッチ付きレバー筐体が必要だ。
上にある数値トラックは、敵弾とエネルギーで、敵弾は「どれだけの敵弾が向かってきているか」の数値で、ゲーム中1移動することで1減らせます(つまり、かわしている)。
エネルギーは使用することで移動や射撃をブーストしたりでき、また機体のヒットポイントとしても扱います。
これがモニタ……じゃなくてゲームボード。
プラスチックのトレイで、プレイ人数によって列数が変わる。4から5人で遊ぶときは、カードを1列に4枚並べられる幅にするのだ。
スコアボードは80年代末らしくするため、日本語化はしていません。
ゲームの準備として、最初にスペースカードのデッキを作ります。
スペースカードは右と左2マスあり、このカードを先ほどのモニタを表しているトレイに並べることで、ゲームボードになります。
スペースカードは各ステージごとの特色を表したサブセットに分かれており、この組み合わせで毎ゲーム異なったゲームを楽しめることになります。
なお、ボスは複数枚のスペースカードををつなげて表現するのですが、ネタバレになるので今回は紹介しないでおきます。プレイ前に確認しないでいたほうがプレイヤーは新鮮な驚きを感じれると思うので、見ないでおくこと推奨。
これらのカードをステージごとに既定の枚数にしてシャッフルし、たとえばS→A→W→F→ボスの順で出るように山札にします。
ゲームはまず、センサーカード(手札として2枚最初に配られる)を一斉に出して、行動順を決めるところから開始します。
センサーカードは10から始まって、400まで10刻みで40枚あります。
このカードの大きい順に、そのラウンドのターンを得ます。
この移動順が重要なのは後述。
ターン中にプレイヤーができることは、バトルかパワーダウン。
バトルを選んだら、移動できるマス数まで移動と、射撃できる回数まで射撃を自由に組み合わせて行うことができます(最初は1移動1射撃しかない)。
移動は8方向に可能で、1マス動くと「敵弾を避けた」ということで敵弾の数値が1個減ります。
また、射撃できる方向は、最初は4方向のいずれか(回転砲座で、向きを変えるのに1エネルギー使ってしまう)のと、移動/射撃が終わったら敵弾が迫ってくる(影響のある「敵弾数」を数えて加えるのだ)ので位置取りは重要。エネルギーを消費してオーバーチャージをすることで、移動数や射撃回数をブーストすることもできるけど、エネルギーは0になったら自機破壊なのでよく考えよう。
1エネルギー払って追加移動で前に移動!(そして2エネルギー払って2回目のブースとをしてターレットを右に向けているけど、ここではちょっと見えない……自機シートのほうで表示するのだ。ターレット向きの表示のために、ミニチュアの向きを変えるのもあり。)
移動先にパワーアップがあったらパワーアップカードを引けるぞ。
こうかはばつぐんだ!
なお、センサーカードで順番を決めるのは結構重要で……
こんな感じで大きい順に移動した結果……
出現位置が全部埋まってる……体当たり強要。ひでぇ。
……みたいな結果になるかもしれません。
射撃は最初は1発だけ撃てて、スペースカードに耐久力が書かれている場合は、破壊可能だ!
敵機雷は1発当てれば破壊だ!
右にターレットを向けているので1発発射!
破壊したら、センサーカードの山札から1枚引いて……
上に置く。
コマを配置して取り除くのではなく、カードで隠すのが面白い。
倒した敵によって点数を得たり、ベロニウムを獲得できる敵もいる。
ベロニウムはショップでアイテムを買うのに使えるぞ!
そして、敵弾値が残ってたらその数値だけエネルギーが減って(弾が当たって)、敵弾値は0に(当たったから)。
バトルを選ばないでパワーダウンを選ぶとエネルギー回復ができる。ただし、移動をしないので敵弾には当たってしまうので注意(回復→敵弾の順なので注意)!
その後で、ショップに行ってアップグレードパーツを購入することもできるぞ!
通常レーザーのパワーアップはもちろん、貫通弾を撃てるようになるガンマキャノン、強力なミサイル、移動力を上げるエンジン、敵弾を吸収するシールドなどのアイテムもあるぞ!
そしてどちらを選んでいても、最後に今いる場所で影響を受ける敵弾の数を数えて、敵弾値を上昇させよう。次のラウンドの敵弾の解決までに避けないとエネルギーが減るぞ!
例えば……
爆発みたいなアイコンは、隣にいると撃たれて敵弾が+1される。これは合計3発だ。
遠距離弾(流星みたいなアイコン)は描かれている方向の直線上にいると敵弾+1だ!
次のラウンドの移動の後で、こうして上昇した敵弾値が残ってたら先ほどの説明のように、ダメージになるぞ。
気を付けなければならないのは、このゲームは80年代末にしてPvP要素があったことだ!
(※あくまで『80年代末』はフレーバーです。)
プレイヤーは敵だけではなく、他のプレイヤーからも撃たれるかもしれない(しかも、相手にはPvPでの点数を与えてしまうかもしれない!)。
他のプレイヤーの機体を撃った場合、ダメージを与えるのではなく、敵弾値を上昇させます。そして、自分のマーカーを1個渡します。このマーカーはパワーダウンをした時にかえすことができますが、持った状態で破壊されたら、そのマーカーを渡したプレイヤーはマーカー1個につき1点を得ることになります。
でも、エネルギーが0になって破壊されてもゲームは続行できるので大丈夫。
コンティニューすればゴースト状態で再登場して、次のラウンドからは通常通りプレイ続行です(ただし他のプレイヤー全員に点数が2点入る)。
そして、全員がターンを終えたらスクロール。
ラウンドの最後に後列にいると強制スクロールされるので、前方にあたり判定があるもの(ほかプレイヤーの機体も含む)が存在すると、ぶつかってダメージ(=エネルギーを失う)を受けてしまうので注意だ!
後列がスクロールして消えた……赤の戦闘機が強制スクロールで前列へ!
トレイを……
最上段に。
新しいスペースカードを配置してスクロール完了。
ものすごいアナログ感だ。
ゲームはこのように、毎ラウンドスクロールしていく画面上を、自機を動かし、弾を撃って、敵を撃破することで点数を得たりして進行していきますが、そのほかの点数源として、最初のくばられた『ミッション』を達成することによって点数を得ることもでき、また80年代末のゲームにもかかわらず(※あくまで『80年代末』はフレーバーです)『功績/アチーブメント』(常に4枚並べられていて、早い者勝ち条件を達成することで点数になる)の概念があるのが驚きだ。
……といった感じで、どんどん自機をパワーアップさせつつ、敵弾をかわし(たくさん移動して敵弾値を減らす)、さまざまな障害を撃破して(後半になるに従い、1発では斃せない敵が出てくるぞ)、ボスキャラが出てきて、倒さずまでもボスキャラがスクロールして見えなくなった状態(つまり1周した時点で)ゲーム終了。
最も高いスコアをたたき出していたプレイヤーが勝者となります。
もう、バカバカしいまで当時のシューティングゲームの雰囲気を再現するのに全力を傾けたゲーム。
デジタルゲームのアナログ化部分は、猛烈に手作業感にあふれる感じですが、実のところゲーム中はその手作業こそ変な脳汁が出て楽しい部分。ルールも煩雑と言えば煩雑ですが、「何故そのルールがあるのか」を(元ネタ的に)理解できるとスッと憶えられる(少なくとも、2、3ラウンド試したらだいたいわかる)ので問題無し。
もう、昭和生まれのゲーセンシューティング世代、8~16bitご家庭ゲーム機シューティング世代、まだうちにシュウォッチあるわー、スイカ割らないと、という人たちはこれ以上なくオススメなのでだまって遊んでみなさい。BGMはもちろん、お気に入りのSTGのもので。
ケンブルカスケード
プレイ人数:2-5人
対象年齢:13歳以上(昭和生まれ以上推奨)
プレイ時間:75-90分+
製作:Z-MAN GAMES
デザイン:アンダース・タイアランド、オレ・タイアランド
価格:6,800円+税
もちろん、昭和生まれのおっさんでなくても楽しめます。
ご参考までに下の動画をご覧ください!
・隔週ボードゲーム通信『ケンブルカスケード』 -1-
・隔週ボードゲーム通信『ケンブルカスケード』 -2-
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