エ…『エリジウム』とは……… ま…まさか…あの…


今回紹介いたしますのは、5月発売の期待作にして英語版の発売日期限を待ってる間にKDJにノミネートされておりました

エリジウム
です。

なお、エリジウムはギリシア語由来の英語で、本来のギリシア語ではエリュシオン……死者の魂が行くところ、つまり天国的なところを指します。

ゲーム自体のフレーバーは、現世で英雄的な行いをしてその冒険譚を積み重ねることで神々の歓心を買い、ゲーム終了時にエリュシオンに行くと、その集めた冒険譚によって点数を獲得し、神の末席に列されることを目指すゲームとなります。

なお、箱の中は収納ばっちり系。

ゲーム的には表向きで並べられたカードからドラフトでカードセットを作っていくゲームですが、いろいろと面白いギミックが用意されています……

ゲームの流れは
1)ドラフトでカードを自分の領土へ送る
2)ドラフトの結果で収入を得たりカードを天国(エリュシオン)へ送る
(カードセットでできる「伝説」を育てるのだ)

で1ラウンド。

5ラウンド終了後に、ゲーム終了時パワーを解決し、つくりあげた伝説により得点を得て、もっとも得点が高かったプレイヤーこそが栄えあるオリンポス神殿の末席に列せられることになります。
……伝説は(株)オリンポスの査定みたいなものと考えるとよいかと。神々は重役たち……

肝心のドラフトのギミックはちょっと変わっています。

カードは8系統の神から5つ選んで混ぜて1つの山札にします。
ゼウス、ヘパイストス、ヘルメス、ハデス、ポセイドン、アレス、アポロン、アテナの8柱。

その他に、カード同様にピックするクエストタイルが並べられており、ピックしたクエストタイルによって収入や次ラウンドのプレイ順が変わることになります。

毎ラウンド、人数×3+1枚カードを並べらて1枚ずつピックするのですが、条件があって……

各プレイヤーは柱を4色持っています。

ピックできるのは、現在持っている柱の描かれているカードかタイルのみ。


クエストタイルは置かれている場所で変わる……破風(条件の描かれてる屋根のところの)は裏表2パターンあって、毎回ランダムに使う面を決めるのだ。

そして、ピックしたらどれか1本の柱を支払います

ここで重要なのは、ピックした色と関係ない柱でもよい事。

こうやって、カード3枚、クエスト1枚を獲得するまでドラフトを行います。
ピックしたカードやクエストは自分の「領土」に並べられ、伝説に語られるべき行いをしたことになるのです。

なお貰えるカードが無かったら、裏向きのカードをもらって市民とします。貰えるクエストが無かったら、裏面の未達成のクエストをもらいます。

カードにはいろいろな能力があって、対応する神により性格も大きく異なります。

即時型パワーはカードを取った時に発動し……

起動型パワーは1ラウンドに1回領土にある限り使用することができ……

消費型パワーは1ゲームに1回だけ領土にある限り使用することができます。

上記はカードピックのフェイズ中に使用できるパワーで……

伝説パワーは領土のカードを伝説に送るフェイズに使えるパワー(領土にカードが無いと当然使えません)

なお永続型パワーはカードが領土にある限り効果を発揮し続けますが、カードにより効果を表すフェイズが異なります。

そしてクエストには次のラウンドでのプレイ順やもらえるお金や点数、天国に送り込めるカードの枚数が記されています。

このようにカードをピックして、つまり良い事や悪いことをしても、上の方々に知られなければ意味がありません。
点数は最終的に領土から天国に送ったカードでセットを成長させていくことで得るのですが、カードには必要な柱(の色)やカード能力とは別に、どの神の系統(8種類中5種類)なのかとレベル(1~3)が記されております。

育て上げていく伝説は2種類……同じ神の系統の伝説と、同じレベルの伝説で、前者は同じ色・違うレベル(つまり最大3枚)での伝説譚となり、2枚で3点、3枚で6点となります。

後者は同じレベル・違う色(つまり最大5枚)での伝説譚となり、2枚で2点、3枚で4点、4枚で8点、5枚で12点となります。

しかも、伝説を作るためにはレベル分のお金を払って天国にカードを送り(神々にご進言?)、

その天国に送れる上限枚数は達成したクエストで異なっているという仕組み……

このクエストなら2枚までしかエリュシオンに送れない……
ラミィキューブみたく、つくったセットを組み替えることはできないので、よくよく考えてセットを組もう!
もちろん、ほかのプレイヤーは伸ばそうとしている伝説に合わせて邪魔してくるとは思うけどね……

ピックするカードは3×5ラウンドだけなので、どの伝説を伸ばすかはよくよく考えなきゃダメだし、クエストの達成もきちんと考えなければ!

その他に伝説の達成順でもらえるボーナスがあったり(各神様が贔屓してくれたりするのだ)、ワイルドカードとして伝説に使った市民は2VPのペナルティになる、ゲーム終了時に得点となるカードパワーがある……など、カードの系統やレベルや今持っているリソースや(報酬的に)達成すべきクエストや次のラウンドのプレイ等を考慮に入れる、短時間で終わる、かなりルールは軽いけどプレイは悩ましいゲーマーズゲームとなっております。

しかも、登場する神によっては、展開は変化を見せます。

たとえば戦神アレスは点数ではなく戦場での栄誉点をどれだけ貯めたかで点数をくれるのですが、最も高いものには16点もくれるのに、2位には8点、3位は4点、4位には何と2点しかくれないというスパルタぶり。

アポロンがいるとめくられるカードを4枚だけ予言してくれるので、次のラウンドが予測がつくようになる(と同時に競争は過酷になる)感じ。

他にも伝説以外のことでほめて伸ばす方針のゼウス、金を生み出したり金があると点数になる物質主義なヘパイストス、ろくでもない事ばかり起こす怪物の父ポセイドンなど、神話上の性格に合わせてカード能力が割り振られており、組み合わせを変えるだけで、全く違った展開となるので、繰り返して遊ぶのにも向いています。

ゲームデザインは、『ディヴィナーレ』のブレット・J・ギルバートと『レリックランナー』のマシュー・ダンストンで、なかなか切れのある内容。
はたしてポーンはもらえるのか興味がある方にはもちろん、ギリシア神話テーマが好きな人やドラフト系ゲームの好きな人、カードパワーの組み合わせは好物だという人、様々な組み合わせで何度も遊びたい人などなどはもちろんオススメですし、「はやく女神になりたーい!」という人にはもちろん「オッケー!」なゲームです。

エリジウム(Elysium)
プレイ人数:2-4人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:60分+
製作:スペースカウボーイズ
デザイン:ブレット・J・ギルバート、マシュー・ダンストン
価格:8,500円+税

これ、他の神様を登場させたり、別の神話……北欧神話拡張とかインド神話拡張とか出せるんじゃね?!

なお青いリボンの神様は入っておりません。