5月は期待作がいくつかあるのですが……
今回紹介するのは、『宝石の煌き』で注目のデザイナー、マーク・アンドレによる3作目、
バロニィ
です。
なお、マーク・アンドレのデビュー作はオシャレな記憶力ゲーム『ボンボン』でした……全然作風違う!!
デザイナー名でゲームを選んじゃいかんな。
もう一つの期待作、『エリジウム』は全世界5月28日発売日指定なのでまた後日……サンプル見た感じではいい感じ。
ゲーム自体は何と言ってもこのコンポーネント力(ちから)。
ぎっしり。
タイルはヘクス構成で、3ヘクスでタイル1枚。
使うのは人数×9枚で、これをランダムに並べます。
つまり、毎回マップは変わるわけ。
しかも、配置形状は自由。
写真は2人プレイ時の例。
そして華麗なコマの数々。
プレイヤーは都市と騎士コマを3個づつ地図上に配置してゲーム開始となります。
もう、見た目がかっちょいい。
この初期配置も、マップをよく見て考える必要があるのです。
土地は山岳、森林、平原、田園、湖の5種類。
カラフルで見分けやすい!
各地形により、長短があるので、最初の配置時にはそれを把握するのが大事。
湖は侵入不可だけど、隣接するマスに都市をつくると騎士の生産個数が増える、森林は都市が作れないし資源は少な目(つまり敵も都市は作らない)、山岳は1コマで他のプレイヤーのコマの邪魔できるので防衛線にするのにはいいけど資源は最低、平原と田園は資源がたくさん……など、後の侵略のために考えなくてはならない要素があります。
ゲームの目的は土地を支配することで「資源」を獲得し、その資源を使って貴族の称号を得ていくこと。
資源は土地ごとに違っていて、15点以上支払って得点化アクションでようやく15点になる感じ。
なお、最後に余っても少しは点数になる。
アクションは徴集、移動、建設、新たなる都市、探険、貴族の称号と6種類あり、自分の手番にはどれか1つだけ実行します。
徴募では、都市コマのあるところに騎士コマ2個(湖が隣接してたら3個)をリザーブから取って置けます。
騎士コマは村か要塞に変換させることができますので、移動させないと都市とか村とかは作れない感じ……騎士は開拓者みたいなものなのだ。
なおかつ騎士は、ほかプレイヤーの1個しか騎士・村の無いマスに2個移動すると(もしくは自分の村があるマスに、他のプレイヤー騎士コマが1個だけいたら、自分の騎士コマが1個入った時点で)、ほかプレイヤーのコマを除去し、そのプレイヤーから資源を奪うこともできます。
「村を襲えー!」
かといって戦闘は有益なのか、というと2コマを1マスに進めるという非効率があったり、都市や要塞があるマスには入れなかったり、何かコマのある山岳には入れなかったりと、制限もあるので、1アクション消費して1マスに騎士を集結させる意味があるかどうかが悩みどころ。
どちらかと言うと、つけいるスキを造らないことで戦闘は容易に回避できるので、それほど戦闘が凶悪と言うことも無いかな?
建設は、上記のように騎士コマを村や要塞に変換するというもの。
都市や要塞があるマスには、他のプレイヤーの騎士は侵入できないのでよくよく考えて土地を切り取っていこう!
拡大路線の問題は、騎士コマを補充するのに1アクション使ってしまうところ。
また、他のプレイヤーは建設の妨害のために、騎士コマを1個でも置いておけば、村や要塞は作れなくなります。
追記:一度に建設できる騎士の数は任意な点に注意だぞ!
しかし、建設をすると、勝利に必要な資源が手に入るので、いつかは必ず建設着手をしなければなりません。
新たな都市は村を都市に変換するもの。
都市は建設すると10点となりますので、これも点数を稼ぐのには重要(コマ数に限りがあって、都市は2個しか余裕はないのですが)。
点数ボードはきれいでわかりやすい!
また、騎士を徴用できるのも、領地拡大のためには重要です(進出先で都市を作って、そこで新たな騎士を徴用)。
しかし……ここまでには騎士コマ1個と2アクションが必要となるのでタイミングはよく考えて。
探検はリザーブの騎士コマを1個ゲームから取り除いたうえで、1個をボードの端のマスに距離に関係なく置けるというもの。
限りある騎士コマ1個と交換にできる、特殊な移動と考えるとよいでしょう……次のターンにいきなり村にして、そのあと都市にするもありか?
貴族の称号のアクションは、ゲームに勝利するためには必須。
15点分の資源トークンを支払って、1段階称号を上げる=勝利点15点獲得というもの。なお、釣りは出ないので注意だ。
移動→建設を経て、さらに1アクションを使う感じですな。
ゲームのルール自体はかようにシンプル。
先にも述べましたが、都市3個、騎士3個から、これらアクションを使って領土を拡大し、誰かが公爵となったらラウンドを終えてゲーム終了、という極めてシンプルなモノ。
最初の都市の配置から、領土獲得ルートを想定し、毎回貰う1アクションというリソースを、その場その場でどのアクションに変えて、どのくらい最終的な点数にしていくのか、というシンプルな内容となっています。
しかし、シンプルだからこそ、この「アクションというリソース」はけっこうカツカツで、無駄手は打てないと考えたほうは良さそう(たとえば……そこに建設する=資源を獲得できるまでに何アクションかかるのか、他のプレイヤーを押さえられるのか、等々悩みどころは多いよ)。
おまけにコマの数も絶妙な数で設計されており、そのやりくりも悩ましいことになるでしょう。
このように運の要素の無い完全情報のゲームであり、アクションの内容が明確で、1アクション1アクションの価値がバランスがよいためどの行動をとるべきかが悩ましく、ゲームのルール自体は簡単だけど、毎ターン選択が迫られるゲームとなっています。
派手さは無いのですが、ルールはシンプルで覚えやすく、しかしながらじっくりと考えてプレイできる(が、サクサク進行する)ゲームを探している人にはかなりオススメですし、この手の陣取りをやったことが無い人でも、その美しいタイルがカラフルで形状もユニークなコマで刻一刻変わっていく、箱庭チックな盤面が楽しいゲームとなっておりますので陣取り系のゲーム最初の1つ目として遊ぶのもよいでしょう。
バロニィ(Barony)
プレイ人数:2-4人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:45分+
製作:Matagot
デザイン:マーク・アンドレ
価格:6,600円+税
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