エッセンからほぼ半月、そしてゲームマーケットまで半月という絶妙なタイミングで今回紹介いたしますのは、
「お前のところは日本(Hobby JAPAN)だけだが、ウチは世界(Hobby WORLD)だぜ!」
というゆかいな営業トークが印象に残っているロシアのゲーム出版社、ホビーワールドの
ハリウッド
です。
えー、これ、去年の新作のはずだったんじゃぁ……と思われる方もいるかも知れませんが、ようやく届きました!
さて。
ゲームの目的は、映画会社の社長となり、映画を製作してヒットを飛ばすこと。
映画に必要な「脚本」や「俳優」等の要素はカードとなっており、最初の資本は1,200万ドルです。
カードは「基本カード」と「スター・カード」、「ボツ脚本カード」があります。
最初の手札は「基本カード」7枚。
ゲームの基本は、
・脚本×1
・監督×1
・俳優(男女メインキャスト)×1
で最低限映画を撮ることができます。
脚本はラブロマンスで、この監督も俳優も、ラブロマンスジャンルを得意にしているけど、カード3枚の低予算……だが、これで900万ドルの収入が!
脚本と監督は1枚までしか入りませんが、俳優は合計2枚まで入ります。
他の要素は、映画撮影スタッフで、こちらは何枚あっても構いません。
それぞれさまざまな特殊能力がある上に、得意ジャンルなどが微妙に異なるのだ。
例えば、「音響エンジニア」は映画に含まれるアイコンの種類が多いほど収入を生みます。
「編集」は俳優か監督の代わりに使えますので、これらのカードをドラフトできなくても何とかなる……という職業。そうか、編集でごまかすわけだ!
年度末に並べることができるカードは9枚までなので、3枚のショートフィルムを3本撮ってもいいし、9枚の大作を撮ることもできます。
脚本が無い場合は、ボツ脚本を拾って使うこともできます。
(ボツ脚本にはアイコンが無いのだ。カードを1枚捨てる代わりに獲得できる。)
スターはお金がかかりますが、スターと言うだけあって、お客を呼び込む(コイン)力や芸術性(黄金像)が段違い。
スターはゲームの最初にプレイヤー人数と同じ枚数だけ、表向きで並べておきますので、どのスターをいくらで競るのか、ドラフトのときから考えなくちゃならない。。
これらのカードには、「ラブロマンス」「コメディ」「アクション」「ホラー」のいずれかのアイコン(もしくは複数のアイコン)が描かれているものがあり、脚本カードのアイコンのジャンルが映画のジャンルを決めます。また、確実に興行収益を伸ばすアイコン(コイン)が描かれているカードもあります。
基本的に製作された映画の収益は、この映画のジャンルのアイコンの描かれているカードの合計数の二乗につき100万ドルで、そのほかのボーナスにより、増えることになります(右上のコイン1につき100万ドル)。
さて、これを前提にゲームのながれ。
ゲームは3年、つまり3ラウンド行います。
各ラウンドの進行は、
1)スターの分配
2)ドラフト
3)オークション
「スターの分配」は並べられたスターとは別に、スターを分配する権利を競ります(山札から人数分引いて、分配)。
「ドラフト」は手札(上記手順で8枚になった)を1枚選んで残りを左隣に回し……を繰り返す、世界の七不思議なんかでおなじみのアレ。
なんか、箸にも棒にもかからない俳優とかが流れ続けるのはなんかリアルですな。
この時、収入を得られそうな映画を作れる組み合わせをピックするのはもちろん重要ですが、後で競り落とすスーパースターのことも考えないといけないので、なかなか難しい。
「オークション」は並べられているスターを非公開の入札で1枚競ります。ドラフトの後というのがミソだ。
そろった手札をよーく見て、どのスターを競り落とせばどれだけの収入が見込めるか良く考えてせらなくてはならないわけです。
こうして手に入れた9枚のカードを、
4)映画スタッフ活動
で使用し(スタッフは特殊な効果を持つ場合があるのです)……
5)映画製作
で先述の最低限映画になる組み合わせを手札からひねり出して映画を作ります。
スタッフ活動は、このセットでは「エージェント」のみがつかえます。
エージェントは、他のプレイヤーから監督か俳優を引き抜いてきます。
6)興行成績
で興行成績を確認して収入を得ます。
カードによっては黄金像のアイコンがあり、このアイコンの最も多いプレイヤーは最優秀映画賞受賞を受賞したりします。
これを3年分行って、最後に黄金像によるボーナスを獲得して、もっとも資産を増やしていたプレイヤーが勝者となります。
……という、ものすごくオーソドックスなセットコレクションのゲーム。ちょっと変わってるのは、競りとドラフトが並行してある点くらいで、点数の計算も特殊なスタッフカード以外は簡単に計算できるし、スタッフカードもさほど難しい効果は無いものなので、使うテクニックやゲーム性はだいたい予想できるのです……が、しかし。
集めたカードによる映画の内容を勝手に想像したり、タイトルをつけて遊ぶんですよ!
「この映画監督は○○に違いない」とか「脚本が間に合わなかったんで、俳優と美術だけで収益が上がる映画にした」とか「余った脚本と2流俳優と新人でビデオセル向けの映画を撮ってみた」とか、「今年はカンフー映画がはやるので、監督は○○を迎えて超大作とってみた。」「アクション映画だがスタントマンは使っていない!」「特撮バリバリの恋愛ものです」「平凡だけど、プロデューサーの宣伝がうまくて大ヒット」など、おかしな内容を楽しんだり、勝手に設定をつくると非常に盛り上がるでしょう。
このように、ルール自体はシンプルだし直観的に各行動が想像できるので、手軽な競り/ドラフトゲームが欲しい人はもちろん、ゲームに慣れていないけど映画が好きだという人を誘いたい人などにもオススメします。
ハリウッド(HOLLYWOOD)
プレイ人数:2-6人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:30分
製作:Hobby World
デザイン:ニコライ・ペガソフ
価格:4,800円+税
……ちょっと変えたらアニメ製作ゲームが作れるんじゃね?
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