さて……今年最初に紹介いたしますのは、当社の日本語版ゲーム復活第1弾だった(そして実は累計で結構な数をだらだら売り続けている……実は再生産もしているロングセラー)フラックスベースのキャラクターゲーム、
クトゥルフの呼び声フラックス
を紹介いたします。
ゲームのルールは極めて簡単で、基本は
1)ルールで決まった枚数のカードを引く
2)ルールで決まった枚数のカードをプレイする
3)ルールで決まった手札上限になるまでカードを捨てる
を順番に繰り返すだけです。
そして、プレイされている「ゴールカード」に書いてある勝利条件(たとえば『「パン」と「トースター」をプレイしているプレイヤーが勝者する「トースト」、とか)を満たしたら勝利。
というものです。
そして上記の2)でプレイするカードは、勝利の条件となるアイテム、勝利条件を規定するゴール、そしてルールを変更するカードなどがあります。
……そう! ルールは簡単なんですが誰かがプレイするたびカードを引く枚数や手札上限はコロコロ変わるし、勝利のためのゴールもあっという間に変わる可能性があるのです!
これがフラックス。
勝利条件が理不尽で戦略性というより流れを読むのが重要な感じのゆるーいゲーム。
どのくらい緩いかというと、途中参加が可能なくらい。
ルールも説明をあっという間にできる程度で、簡単で途中参加もでき、勝ち負けも緩いのでパーティーゲームとしてはいい感じのゲームとなっています。
……ですが、今回はキャラクターゲームになったおかげでチョット趣は違います。
まず、勝利条件になる「ゴール」やプレイヤー以外(つまり邪神側)が勝者となる「アンゴール」はラヴクラフトの著作からの引用が結構な数あります。
プレイする「アイテム」はクトゥルフ神話モノではおなじみの登場人物や物品。
ですから、どんなカードで勝利できるか、ほかのプレイヤーがどの勝利をもくろんでいるかが、クトゥルフ神話知識が高ければちゃんとわかるので有利。
たとえば、<死体蘇生者>がプレイされていた場合、<死体蘇生者ハーバート・ウェスト>のゴールがあることがファンなら予想できるし、その勝利のためにはおそらく<死体>があれば勝てるだろうなぁ、と予想できるわけです。
クイズ:初めてプレイしたけど<食死鬼>と<画家>が手元にある……これをプレイしておいて、ゴールに『アレ』があれば勝ちになるんじゃない?
『アレ』ってなんだ?
加えて新要素としてお邪魔カードとなる「クリーパー」は強制プレイでペナルティになる「アイテム」のようなもので、理不尽に狂気に追い込まれるクトゥルフものっぽさがよくあらわされています。
また、「アイテムや」「クリーパー」には災厄アイコンや探索者アイコンが描かれているものがあり、これらが勝利条件や敗北条件になっているものもあります。
たとえば、「アンゴール」<ダンウィッチの怪>は、<ヨグソトース>がプレイされているときに、災厄シンボルが6個以上ある状態になるとその瞬間全員負け、ヨグソトースが勝者となります。
元のフラックスのコロコロ変わるルールや変化する勝利条件などのルールにクトゥルフ神話テイストを加えた結果、邪悪な存在に翻弄されたり、あり得ない現象に翻弄されたり、超自然的な展開を見せたり、じわじわ狂気にさいなまされたりする、元ネタっぽいプレイ感とシステムが合致しているのがお見事。
そのようなわけで、かなりキャラクターアイテムとしては出色な感じの出来となっており、ラヴクラフティアンなあなたや、軽めのパティ―ゲームを探している人、軽めのパーティーゲームのふりをしてクトゥルフモノの布教をしたい狂信者のあなたにオススメいたします。
クトゥルフの呼び声フラックス
プレイ人数:2~6人
対象年齢:13歳以上(原作的な意味で?)
プレイ時間:約10分~40分
発売:ホビージャパン
デザイン:キース・ベイカー(D&D4版・エベロンの!)
価格:2000円+税
答え:ピックマンのモデル