私は戦争をしているのだよ 『タイタニウム・ウォーズ』


 今日紹介するのは、
『タイタニウム・ウォーズ』です。
もうすこーし早く手配できたら中国の工場から直送できたのに、すでに欧州に向けて出荷されてしまったために、地球をほぼ1周してきたデスヨ。
それでも海路だと北極航路とかできて欧州便は早くなったし、航空便もロシア内を経由する便があるので、冷戦時代に比べれば早く便利になりましたなー。
……スエズ運河とか、今欧州便って使ってるんですかね?

というわけで。
ゲームははるか未来……新航路や新技術が世界の趨勢を変えるのと同様に、新エネルギー『タイタニウム』(スペルはチタニウムと同じだ)は世界を変えるポテンシャルを持っており、その産出惑星を巡って、艦隊を整備してなぐり合うことになったのです、という実にわかりやすい設定の外地獲得宇宙艦隊戦ゲームです。

プレイヤーが購入する部隊や艤装類、建物は中央にそれぞれぞれ別々の山と積まれます。

並んでるさまはドミニオンの王国カードっぽいのですが、これ、購入したカードを自分の前に並べるだけです。
手札にはなりません。

奪い合う惑星はこちら。

面白いのは、裏がイベントで、表が惑星な点。
つまり、奪い合う惑星とイベントの組み合わせが毎ゲーム変わる仕組み。
そして順番にめくっていくので、次の戦争の焦点となる惑星はどこなのか判っています。
この惑星の価値と軍備を天秤にかけて、軍備増強したり実際に打って出るのか考えるわけです。

そして重要なのはこの戦術カード。

こちらのカードのみが秘匿情報として手札に入ります。
実際に悩んだあげくにプレイするのはこちらになります。

そしてリーダー。

最初に2枚引いて1枚選ぶのですが、各勢力でいろいろ能力が異なっています。
購入しておくことのできる建物の枚数や、部隊の枚数、手札上限、クレジット生産力などいろいろなパラメーターがあります。
これらは建物を購入したりすることで伸ばすこともできます。

プレイヤーは最初の資産として、1000¢(クレジット)と戦術カード3枚を持っています。
因みにお金は汎用ではなくタイタニウム・ウォーズ専用のモノ。

ちょっと贅沢。

ゲームの手順は
「探査」でイベントカードをめくって、奪い合う惑星が決まる(同時進行)
  ↓
「生産」でクレジットを獲得(同時進行)
  ↓
「配備」で中央の武器庫から部隊などを購入する(同時進行可)

これを各自同時に行っていきます(順番が関係する場合は、開始プレイヤーから)。
前半のこのステップはえらく直観的で簡単です。
が、この次がゲームのキモ。

  ↓
「征服」で惑星を奪うために戦闘を行う

となります。

各戦術は種類ごとに0~7の数字が割り振られており、また参加できる部隊の種類や攻撃できる敵の部隊の種類、攻撃力への修正などが異なっています。

この戦術カードを、各プレイヤーは攻勢に参加する場合、秘密裏に選び、同時に出します(上級ルールではちょっと違う)。
あくまで外地獲得競争なので、軍備がない、参加したくない場合は参加しないことも可能です。

そして、数字の順に解決となります。

たとえば、集中砲火(Cross Fire)は、行動順は4で巡洋艦(Cruisers)と駆逐艦(Destroyers)が攻撃に参加できて、こちらが相手に選べるのが同じく巡洋艦(Cruisers)と駆逐艦(Destroyers)。

一方襲撃(Assault)は行動順が3と早く、戦闘機隊(Fighter Squadrons)が攻撃に参加できて(航空部隊が先に攻撃するのはセオリーですな)、目標とできるのは同じ、戦闘機隊(Fighter Squadrons)と巡洋艦(Cruisers)と駆逐艦(Destroyers)、機雷(Minefield)、修理ドローン(Repair Drones)と多岐にわたります。

で、この解決順に、参加部隊の攻撃力の分だけダメージトークンを受け取り、目標にできる敵艦艇に割り振ります。ダメージが防御力を上回っていれば、防御側は破壊です。
解決が遅いプレイヤーは、生き残った攻撃参加できる部隊の攻撃力の分だけダメージトークンを受け取って以下同文。

戦術カードは使ったものは捨て札になりますが、攻勢に参加していれば追加で捨てることもできます。
しかも1枚目はタダで、2枚目以降は100¢かかります(その後手札上限まで補充……リーダーによっては手札枚数が多かったり少なかったり)。
しかも、捨てたカードは表向きです。

この「戦術カードを選ぶ→戦闘の解決→戦術カード補充」を誰か1人のプレイヤーが残るまで繰り返します
残った1人が、惑星を獲得できるて1ラウンド終了となります(開始プレイヤーは左隣に移る)。
この獲得惑星が、誰かが既定枚数に達するまで、戦争は継続されます。

ルールは簡単でしょ?

ここで重要なのは、戦術カードは補充の際にランダムに引かれるという点と、戦術によって枚数が異なる、戦術によって参加できる部隊の種類と襲撃できる部隊が異なるという3点。

つまり、
1)公開情報である各プレイヤーのキャラクターによる能力と、
2)各勢力そろえた部隊を襲う側と襲われる側としてよく見たうえで、
3)どの戦術カードならどれで襲うことができ、襲われるのかを考え、
4)そのそれぞれの場合の戦力を計算し、
5)手札の戦術カードの状況を評価し、
6)捨て札になった戦術から残っているカードを推測し、
7)他のプレイヤーが出すであろう戦術を推理し(順番重要)、
8)今手札にある戦術のうち何を出すべきか(場合によっては参加しちゃダメ)を考える

という、感じ。
まぁ、悩む部分は多いのですが、することは基本簡単。
軍備をそろえて、惑星を確認して、奪い合う。
以上。

前半の生産と配備では、自他のリーダーの能力と手札状況と残存軍備を鑑みて戦力を整備し、奪い合う惑星を確認したら、後半の戦闘では変化する情勢を見張りつつ、各勢力が今国力を天秤にかけている惑星が、損耗の価値無しであれば諦め、そうでなければ先に記述したことを考えながら、軍備をすりつぶしあうという、プレイはサクサク進む、膨大なパラメーターが毎ラウンド変更する、最適な手札を読みあう推理と心理戦のゲームとなっております。

基本毎ラウンド派手に戦力を損耗しあう戦争といった感じになり展開も派手ですが、じりじりとした相手の出方の読みあいが肝心と言う心理戦の要素が強い内容となっております。
自分の艦隊を配備するとか、艦隊を育てるというキーワードや、艦隊戦で相手との戦術の読みあいとかのキーワードに反応してしまう人にはかなりオススメできます。

『タイタニウム・ウォーズ』
プレイ人数:3-4人※
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:60-90分
製作:Iello / Euporium
デザイン:フェデリック・ジェラード
価格:5,400円+税

※プレイ人数については、3人だと最下位になった人が1位2位争いに参加しにしにくい……という意見がありますので、適正は4人かと思われます。