と、いうわけでついに日本語版が出た
『十二季節の魔法使い』です。
過去の記事とか……攻略記事とか……を見たら結構わかると思うのでざっくり。
・カードは一番新しいテキストとアイコンに変わっています。
・ルールとカードテキストは初版の英語版から微妙にバージョンアップしています。(が、ボチボチ微妙な穴がルールブックにまだあるのですがTCGに慣れている人ならだいじょうぶな感じ……カードは完全になおってるし。ルールはうちも結構指摘したんですがまだ穴がある……)。
変更されていた部分で重要なのが、『召喚』と『場に出す』が整理されていた点。
と、いうわけでこの変更点なんかのお話を少し。
能力の相互作用のあるゲームで、カードの効果とかルールの文章を、なぜなるべく直訳(逐語訳)的にしているわけですが、なぜそうすべきかといいますと、『MAGIC The Gathering』以降のルールに顕著なのですが、ルール記述・カード記述を『1単語で1定義』のキーワードにすることで、膨大なカードの相互作用に関して明確化するテクニックが確立しているからなのです。
いちばんわかりやすい例が、コレ。
《春の杖》
「あなたがパワーカードを1枚召喚するたび、クリスタルを3個得る」
《夢の薬》
「[gear],夢の薬を生贄にして、あなたのリザーブの魔力トークンをすべて捨てる:あなたの手札のパワーカードを1枚コスト無しで場に出す」
《オラフの祝福の像》
「クリスタルを20個得る。」
《オラフの祝福の像》を《夢の薬》の能力で場に出した場合は……
1)《オラフの祝福の像》は誘発します
2)《春の杖》は誘発しません
1)は『場に出たときの効果』となるためで、2)は『召喚』に誘発する能力だからです。
これをキーワードである『召喚』ではわかりにくいので『場に出す』にしてしまったりすると、膨大な注釈をルールブックに入れなければならなくなる羽目になったり、同じテキストキーワードなのに違う効果のカードがあらわれたり、追加セットが出たときに悶絶してしまったりするわけで(『捨てる』と『捨て札に置く』とかな!)、そもそも英語の文章では同じ内容をいろいろな言い回しで書くことこそが文章力の証だったのを、1つの動作には1単語で定文化するという、この発想方法がTCGの発明というか、Magic以降のルール記述の革命といえるわけです。
と言うわけで、『十二季節の魔法使い』のルールは簡単だけどカードの相互作用の解釈が難しい……と思った時は、この『キーワードによる定義』に気を付けるとルールの解釈がしやすいと思われますし、疑問があった場合逆に「この解釈を成立させるルール記述もしくはキーワードは何が予想されるか?」という考え方でルールを探すと意外と簡単に見つけることができます。
まぁ、あれですな。カードテキストというプログラムの動作確認をしてるみたいな感じ?
※TCGのデザイン技術が使われているゲーム……『イノベーション』や『ユークロニア』、『ドミニオン』等にも使えるテクニックです。
また、この『キーワードに気を付ける』ことこそ『コンボを見つける』という一番楽しい部分の第一歩となりますので、買った人はプレイする前に、このあたりに気を付けてカードを眺めて予習するのもよいでしょう。
なお、『十二季節の魔法使い』はドラフト技術、プレイ技術に関しても練習すればするほどちゃんと上達することのできる、やりこんで極めるプロセスが好きな人にはオススメのゲームとなっております。
たぶんこのあたりが体感として身に染みているTCG経験者は、すんなりとプレイできると思われますので、ぜひ挑戦してみてください。
十二季節の魔法使い
プレイ人数:2-4人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:60分
製作:Libellud
デザイン:レジ・ボネセー
価格:6,000円+税