時が止まったユートピア。人、それを…『ユークロニア』という!


と、いうわけで、何もかもみな懐かしい……と言うくらい遅れに遅れてしまいましたが、ようやく発売となった
ユークロニアをご紹介します……
※でもまだ顧客向けに情報流していないもので、遅れに関してまだ『上』があるんだぜ……

何とルールはなんとたったの4ページ


プレイヤーはユークロニア(ユートピア+クロノ)という、いまだ恐竜を使役している時に置いて行かれた楽園の名家の長として、建物を建てて名声を上げるのが目的。

点数は、基本的には立てた建物の価値と、ジャンルごとの労働者の数がトップの場合はその労働者の数が点数になります。

じゃ、どうやって建物建てるに至るかと言いますと……


これがプレイヤーの領地。

左は建築中の建物を、右は完成した建物を置きます。

写真では灰色のカードを置いてありますところに、手札を1枚置いてそのアクションを行うか、同じカードを2枚置いて任意のアクションを行えます。
なお、ターンの初めに、前回アクションに使ったカードは共通の資源置き場である公共広場に送られます。

上は『作業』といって、労働力を送る場所、下は『倉庫』と言って資源を置く場所です。

まず基本的に手札として回すカードはこちらのカード。

何の能力もない。
全部で5種類あり、手札から領地にプレイすればアクション、倉庫に置かれれば資源、作業に置かれれば(「着手」と言う)労働力になります。

オレンジは「材木」で<探検>(手札を倉庫にカードを送る)

黄は「粘土」で<生産>(共通の置き場である公共広場から倉庫にカードを送る)

赤は「レンガ」で<ドラコニアン>(他のプレイヤーの手札からカードを自分の倉庫に送らせる――イメージ的には軍事行動ですな)

灰は「石」で<建築>(建物の建築開始、もしくは建築の始まった建物に倉庫から対応する種類のカードを送る――ただし、建築する建物は共通の置き場に並べられたものから1枚を選ぶのですが、公共広場に同じ色の資源がなければならず、その色の資源を1枚公共広場から捨て札にします――この建物の基礎になったのです)。

青は「大理石」で<通商>(倉庫から作業へカードを送る)

つまり、勝利に必要な建物を建てるには、<建築>で建築に着手し、倉庫から資源を送って建物を完成させなくてはなりません

ではその倉庫に資源を送るには、<探険>手札からか、<生産>公共広場からか、<ドラコニアン>ほかのプレイヤーの手札から資源を送らなければなりません。

では作業は何かと言うと、作業にあるカードが多ければ多いほど、その色のアクションの効率が累加するというものです。
たとえば作業に2枚黄のカードがあれば、<生産>をすると1枚ではなく3枚のカードを公共広場から倉庫に送ることができるようになります。
しかも、各色ごとに、いちばん多くのカードを作業に着手させているプレイヤーは、その色を独占できます。
独占にはいろいろとボーナスがあり、まず作業に着手している独占している色のカード1枚につき1点、そして誰かが独占している色の建物を建てたら、その色のカードを公共広場からひくこともできてしまいます。

ただし、作業におけるカードの上限枚数は、今度は完成した建物の数で決まります。
最初は2枚だけですが、完成した建物が1つ増えると1枚上限が増えます。
そのため、建物はなるべく多く建てなくてはなりません(つまり最初に戻るわけです……なにこの円環構造)。

このように、プレイヤーは自分のターンに手札を消費してアクションを行うことでリソースをコントロールするわけですが、手札は使っているとそのうち無くなってしまいます。
それを補充する手段として、手札を使ってアクションをするかわりに、手札を引くアクションがあります。
ここでも作業が重要になります。
カードを引く場合、自分の作業にあるカードと同じ色のカードがほかのプレイヤーの領地にある、つまりアクションとしてカードを使用していたら、そのカードの能力をコピーして使用でき、その後カードを5枚になるまで(手札が5枚だったら1枚だけ)引きます。
手札のリソースが増えたうえに、オマケのアクションまで!

しかもそこに40種類ある建物の特殊能力が絡んできてゲームに変化を与えます。
建物は得点になって作業上限が増えるだけではなく(しかも作業上限が上がり、作業でその種類のカードを1番持っていた場合はその作業を独占できますから独占したい人は作業上限を伸ばすこと必須)、建てたときに発動したり、アクションを行う時に発動する様々な能力があります。

また、その組み合わせによってはより効果的になるものもあります。
たとえば――

・<探検>を行うことで建物の建設を開始できる(しかも自分の倉庫の資源を基礎に)『恐竜院』
・<探険>を行うときに、追加のボーナスとしてカードを1枚引ける『学校』
この2枚は合計4点ですが、探険命令を行うことで手札を補充しつつ、倉庫に十分な資源があれば手札から資源を送らずに建物を建て始められます。

こうやってアクションを実行したりしながら、誰かが既定の点数に達成するまでラウンドを続けて行くわけです(いち早く達成したらと言って、ラウンドの終了時にもっとも得点が高いとは限らないことに注意)。

つまり、手札となるカードはいろんな場所を移動して、その価値を変えて行くことを理解したうえで。
自分のリソース(手札と倉庫と作業、作業上限)の状況と点数、公共広場の状況と共通の置き場に並んだ建物と、ほかのプレイヤーのリソースと行動と点数とを睨みつつ、どのアクションを行ない、どのリソースに変換することが、ほかのプレイヤーに対してアドバンテージを取れる行動なのかを悩む感じのゲームなのです。
このあたりの自分のリソースを、何を何に変換していけばいいのか、変換するタイミングはいつか、その管理はどうすべきなのかという感覚は先に出ていたイノベーションにも共通していますな。

最初は何をどうしてよいのかピンとこないでしょうが、システムと建物の種類と効果がわかってからが本番。
カードを覚えたほうがよい点ではかなりのやりこみ型ゲームではありますが、ルールの本質は4ページ分の重さしかないのでプレイも実際はしやすく、登場する建物も最初はずらっと共通の置き場に並んでいるので確認もでき、登場枚数も少ないので、それほどプレイのネックとなりません。
慣れるとプレイヤーがしなければならない行動が実はそう多くもないため、プレイもしやすく、テンポの良いゲームとなっています。
反面、真剣に勝とうとすると前述したリソース管理とアドバンテージ獲得が重要になりますのでかなりの本格派。
お手軽な本格ゲームを探している人や、複雑目のゲームに始めて挑戦したい人にはかなりお勧めデス。

ユークロニア
プレイ人数:2-5人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:45-60分
製作:Libellud
デザイン:カール・チャデク
価格:3,400円+税

なおカードに正誤表が出ておりますのでご確認お願いします。

正誤表
≪競竜場≫
誤:[通商]命令において、あなたは公共広場の代わりにあなたの倉庫から作業を着手できる。
正:[通商]命令において、あなたはあなたの倉庫の代わりに公共広場から作業を着手できる。