さて、今回紹介いたしますのは、TCGに親しみのあるプレイヤーには好感触、日本語版も発売が決まりホビージャパン・ゲームフェスティバル2013では大会も開催決定した『十二季節の魔法使い』のエキスパンション、
『十二季節の魔法使い:
魅ノ国』です。
どうでもいいけど『魅ノ国』と『蟻の国』って空目しやすいよな!
内容は……新たなパワーカードや、ルールを変更するエンチャントカード、1回限りの効果を発揮するトークン、あると便利なパーツなどが含まれております以上。
……どうしてもこの手のエクスパンションは細かい説明をするとカード内容とかの解説になるので、もう説明しようがない。
しかしそれでは残念なので、今回は一時期終業後当社ゲーム部署の事務所で夜な夜な戦いを繰り広げていたルーキー氏に再度筆を取ってもらうことにしました。
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どうも御無沙汰しております。
一時期、数百年にわたり魔法の戦いに明け暮れ、実生活に支障が出だしたため自粛していたんですが、待望の追加エキスパンション『魅ノ国』の登場と共にクシディット王国に戻ってまいりました。
今回はゲストとして弊社ゲーム開発メンバー2名を招き、新しいパワーカードの中からオススメの一枚を挙げていきます。
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パワーカードの生け贄や捨てる時に身代わりになってくれる特殊な能力を持った盾です。
イラストや名前から防御的なカードと想像しそうですが、対戦相手のパワーカードを生け贄にさせたり手札を捨てさせたりするカードはほとんどなく、基本的に自身でパワーカードを生け贄にして使う事となります。
生け贄にして効果がおきる「薬」シリーズと相性がよく、特にどの状況でも使いやすい「力の薬」や「知識の薬」との組み合わせは非常に強力です。
生け贄にできるカードを確保しておかないとただの置物になってしまう「ジーラの盾」は点数が大きく変わる面白いカードです。
ドラフト時に生け贄にできるパワーカードを確保できるかしっかりと見極めて「ジーラの盾」をピックしましょう。
魔力トークンは安全、そう思っていた時期が私にもありました。
十二季節の魔法使い~魅ノ国~ で聖域なき改革に挑むのは『ハシリドコロのラッティ』。
このラッティ、ただの薄汚いネズミ野郎に見えるが侮ってはいけない。
ある時は魔力トークンを貯め込む拝金主義者に襲い掛かり魔力トークンを奪い去る義賊であり、また、ある時は相手が大切にしているわずかばかりの魔力トークンを奪い取る悪魔となる。
クリスタルを少し支払うだけで相手の魔力トークンを減らし、こちらの魔力トークンを増やしてくれる痛快さは今までには無かった感覚を与えてくれる。
もちろん、3人戦、4人戦と人数が増えればそれに応じて仕事をしてくれるのでハシリドコロを間違えなければ大活躍間違い無しのこの一枚。
いつハシルの? 今でしょ!
追加エキスパンションということで、パワーカードの効果の中にも基本セットには無かった新要素がいくつか含まれています。
再生の玉座もその一つで、今まで単に進めることしかできなかった「ボーナストラック」を巻き戻すことができます。
つまりボーナスの恩恵を一回タダで得られるため5~8クリスタル分の得で、もともとの名声ポイントが10であることも考えると資源3個で得られる得点としてはなかなかのものと言えるでしょう。
もちろん、その気になればボーナスを4回使用することもできます。
さて、先に新要素について触れてみたものの、もう一方の効果“パワーカードを一枚捨て、パワーカードを一枚引く”ことも大きなメリットです。
序幕で最後に回ってきたパワーカードや、効果で引いたパワーカードは、自分のデッキと噛みあわないカードだったとしても強制的に手札に加えられることになります。
扱いに困っているお荷物の一枚がもっと有効なカードに入れ替わってくれるなら、しかもその効果がおまけで付いてくるなら言うことなし!といった感じですね。
……実は、手札の入れ替えだけなら同じく新カードの※「時のアミュレット」が非常に優秀ですが、それはそれということで。
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『魅ノ国』には、これらのオススメを含めた20種類のパワーカードに加えて、クシディット王国の景色をがらりと変える「エンチャントカード」、魔法使いたちに個性を持たせる「特殊能力トークン」といった新たなアイテムが含まれています。
エンチャントカードはゲーム全体のルールをねじ曲げる効果があり、序幕の開始前に一枚を選ぶことで普段とは違う新鮮なゲームを楽しむことができます。
「自然の精」「アルゴスの抱擁」などはプレイヤーの枷となって戦いの厳しさを増しますが、一方で、決まった束からデッキを選ぶ「基本的な構築」のように初級者にもやさしいエンチャントもあります。
特殊能力トークンもエンチャントカードと同様に序幕の開始前に各プレイヤーが選択し、自身の能力を活かすようにデッキを構築していくことになります。
一例を紹介すると……
《トークン7(表裏)》:クリスタルトラック上のあなたの魔術師トークンを12スペース分進めます。この効果を使った場合、ゲーム終了時に名声ポイントを6点失います。
《トークン12(表裏)》:パワーカードの山札の一番上から3枚のカードを見て、それらを好きな順番で入れ替えます。この効果を使用しても、ゲーム終了時に名声ポイントは上下しません。
この特殊能力はゲーム中にたった一度だけ発動でき、またお互いの特殊能力は見えているため、手の内を探りあう面白さが増すこと間違いありません。
最初は新しいパワーカードの追加から、徐々にエンチャントカードや特殊能力トークンを織り交ぜていくと、より『魅ノ国』を堪能できると思います。
というか、最初に全部入れてしまうと全然別のゲームに感じて混乱するかもしれません(笑)
「十二季節の魔法使い」は本年度のHJゲームフェスティバルの種目にもなっていますので、我こそは!という魔法使いの方はぜひご参加ください!
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と、いうわけで『十二季節の魔法使い』自体はTCGプレイヤーだったらすぐにプレイ感覚がつかめる内容ですし、その身につけたテクニックも生かせるのでかなりオススメできます。
そして基本セットだけの環境に飽きてしまったとか、であれば追加のパワーカードは入れるだけで価値がありますし、逆に全くの初心者を仲間に引き込むのであれば、導入エンチャントはかなり有効なものとなります。
「遊ぶ人が自由に組み合わせをして楽しめばいい」という、オフィシャルに回答を求めがちな日本人とは真逆の「遊ぶためのツールは作った、あとは自由に楽しんでくれ」という設計ですので、基本セットをプレイして面白かった人にはぜひこの挑戦を受けてみてください。
十二季節の魔法使い:魅の国(Seasons: Enchanted Kingdom)
プレイ人数:2-4人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:約60分
製作:Libellud
デザイン:レジ・ボネセ
価格:3,500円+税