『小公女』や『シャーロックホームズの冒険』、『ジョジョの奇妙な冒険(第1部)』、『エマ』、ゲームでは当社で発売中のホワイトチャペルなどの時代背景でもある19世紀末の英国では空前のオカルトブーム。
科学が発達した産業革命の裏で、心霊写真や妖精写真、交霊会(こっくりさんの原型とも知られるウィジャ盤なんかは有名ですな)などが大流行の時代でした。
今回紹介いたしますのは、そんなロンドンを舞台に占い師達がその能力をかけて占いの優劣を競う、「第一回霊媒師大会」をゲーム化した
ディヴィナーレです。
ちなみに賞金はなんと£1000。執事の年収がだいたい£50ポンドくらいだそうですから、まぁ、大変な額です……。
決勝進出者は、スポンサーでもあるエドムンド卿。自分のいた学園に10万ポンド寄付したクルー家のお嬢さんに比べればささやかですが、オカルトに傾倒している大富豪。そして、エドムンド卿の幼馴染で怪しげな風体のインド人ラミ、モルダヴィアのジプシー星占い師チェーシカ、オカルトではなく確立で勝ちあがってきたというアメリカ人のジョン=ポールが登場します。
あとのカードは占いのカード。占いは4種類あって、占星術、手相見、水晶占い、紅茶占い。それぞれ枚数が異なり、合計すると36枚あります。
カードがきれい。
ゲームの内容はいたって簡単。
毎ラウンド占いのカードを全部シャッフルし、4人の場合全プレイヤーに6枚ずつ配ります。残りは12枚は次のラウンドまでわきによけて置きます。
36枚中12枚が使われないわけです。
プレイヤーがしなければならないのは、この全員に配られたカードのそれぞれの枚数を推測することです。
枚数の指定は、自分の手番に手札をプレイすることで、そのカードに対応するボード上にある霊視トークンを
a)無宣言のスペースに動かす
b)何もおかれていない、数字の書かれたスペースに動かす
ことで行います。
重要なのは、必ずいずれかのカードを1枚プレイして、対応するボードの霊視トークンを動かさなければならないこと。しかも、その対応する占いのカードがプレイされていくにつれ、全体での枚数が明らかにされていくわけなので、早々に正解のスペースに置くと、あとでカードをプレイしなければならなくなったりした場合、泣く泣く動かさざるを得なくなり、後悔することになる可能性があります。
しかも、指定されたラウンドには、手札のうち指定枚数を右隣の人にまわす必要があります。
例えば、4人の場合は最初に配られた6枚中3枚をまずまわしますので、24枚中9枚の内容を知っていることになります。
次は全員の手札が4枚のときに2枚、その次は全員の手札が2枚のとき1枚まわします。
この手札が最初の手札。占星術を全部回そう……そして全員同時に3枚右隣のプレイヤーに渡した後で……
こうなった。占星術のミニマム枚数4は分かる。
しかも、カードをまわすのは情報を与えると同時に、相手の行動を縛る(必ずプレイし、対応する霊視トークンを動かさなければならないので)意味にもなりますので、渡すカードと残すカード、そしていつ正解スペースに霊視トークンを置くのか悩みましょう。
カードを全てプレイし終えたら、1ラウンド終了で得点。
得点は、完全に当てた場合は3点、近ければ1点、間違いで-1点、無回答0点です。当てなければならない枚数が少ない場合は得点が高くなります。
点数
これを4回やって、勝敗を決めます。
ルールは簡単ですが、特筆すべきはそのきれいなコンポーネント。
これだけでも満足。
箱の内側まで凝っている。
淡々とプレイするのではなく、雰囲気出してプレイがしたくなる感じ。
「むむ、この茶葉の残り方は……6ですね(全部で10枚あるうち、5枚見れたからこんなもんだろう。)」
とか。
「水晶に曇りが……4です! 4が見えます!(実はブラフ)」
とか。
「金星が獅子宮に入っており、木星は双児宮にあって、月は……8です(12枚中10枚見てるけど、おけるところで空いてるところがここしかない)」
とか
「むむ、なんと運命線が生命線を! ……真ん中に戻します(分からん)」
とかやると楽しそう。
この雰囲気を楽しめるオカルトに傾倒している方にも、色々見える方にも、カウンティングとブラフと確率論で切り抜ける方にもオススメの推論ゲームです。
ディヴィナーレ~倫敦の霊媒師~
プレイ人数:2~4人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:約30分
ゲームデザイン:ブレット・J・ギルバート
製作:Asmodee
価格:3,800円+税