遂に、エジプト政局も日本の政局もコレひとつでよく判ると一部で評判のフンタの日本語版が発売となりました!
発売以来いろいろと語られているゲームなんでざっくりと。
ゲームの手順は簡単。
1)自分の基盤となる票田や投票、政治的な行動を表す『政治カード』をそれぞれのプレイヤーが2枚引く。
2)大統領は閣僚ポストを配分する。閣僚ポストははっきりと強弱がありますので、絶対誰かが不満を持ちます。
3)外国援助金を8枚、大統領が引く。援助金は96枚ですので12回引く機会があるわけです。100万、200万、300万ペソはそれぞれ32枚なので、8枚引いた平均は合計1,600万くらい?
4)予算の審議と予算配分――と言えば聞こえはいいのですが、引いた外国からの援助金を自分の懐と、まぁ、閣僚を黙らせるのにおこぼれを分配します。
大統領の予算案を全員で動議にかけて、可決ならその金額(かそれよりも多く)を大統領はあたえ、否決なら大統領がまるまるもらいます。
5)居場所を決める。
次のターンまで隠れている場所を決めて置きます。場所は軍司令部、愛人宅、自宅、ナイトクラブ、銀行(+外国の大使館/亡命できる)から選びます。司令部はクーデターの口実が無くてもクーデターを起こせます。銀行はスイスの秘密口座の送金のためにはいかなければならない場所。
ちなみに、勝利条件はスイス銀行に溜め込んだ金額が一番多いこと。また、銀行に預けてしまえば他のプレイヤーから暗殺されたときに奪われることはなくなります。
6)暗殺
暗殺カードがあれば、誰を何処で暗殺するか宣言できます。内務大臣だけは秘密警察を掌握しているので、カードなしに暗殺を1回実行できます。
居場所を当てれれば暗殺成功。まぁカードが無いと実行できないので、そうそう起きない……内務大臣を除けば。
7)銀行
銀行にいる場合、先ほど述べたとおり銀行にお金を預けたり、引き降ろしたりできます。
8)クーデター
不満があるならクーデターでひっくり返すこともできます。
反逆者側の目的は、5箇所ある重要施設のうち3箇所を占拠すること。
ただし、クーデターの最後に最終的にどっち(現大統領か、革命政府か)につくかを宣言していくので、足をすくわれる可能性もあります。
勝った側は、一人を処刑して持っている金を奪うことができます。
ざっくりした流れはこんな感じ。
ルール自体は正直散漫な書き方で、WEでは採用されていたSPIの確立したナンバリングシステムもなくなっているので読みにくいかも知れません。
サマリーと言うか、ざっくりメモを作ったので参考にしてください。
即席ですが、こんな感じ。間違っていたらご勘弁。
実質ゲームとしてやることは簡単ですので。
こんな感じでゲーム時間は120分以上の表記。
でも、システムの根幹であるお金の配分は12回だけ。1ターン10分。それ以下なら早く終わる。
しかし、なんで長いゲームになるかと言うとすべての交渉が自由と言う点にあります。
正直、黙々とゲームをやるだけならそんなに時間もかかりませんが、このゲーム、あくまで
『ゲーム部分』はディベートゲームのためのツール
と極論してかまわないと思います。
当然、交渉は無限に引き延ばせます(が、やりすぎはよくないので時間制限をつけたほうがよいでしょう)ので結果時間がかかってしまうワケ。
ちなみにこの交渉、脅すのも、騙すのも、まったく自由。もちろん談合だって、メモとってカウンティングだって、賄賂としてお金をあげても、手札をあげても、『ダメ』と書いていないのでかまいません。
注)ゲームの中だけね。実生活の上下関係などは持ち込むなよ!
ルールとは「○○してもよい」と書いてある、オフィシャルや権威の「解釈」を求めがちな日本人ですが、実際ルールと言うものの発想は「○○してはいけない(書いてないことは何やっても良い)」というもの。
サークル壊しの双璧の一つ(もうひとつはディプロマシー/俺調べ)なだけはあります。
※追記:必ず守らなければならない「約束」があります。予算案が通過したら、必ずその金額以上の金は渡さなくてはならないということです。「同じ」じゃないところがミソ。
えーと、マニフェストってなんでしたっけ?
このゲーム、ゲームを選ぶ際によく語られるダウンタイム(他のプレイヤーを待っている何もしない時間)は実質ありません。
信じられない人は、ためしにクーデター中にちょっと席をはずしてみなさいな。
席に帰ったときのほかのプレイヤーの表情がヘンじゃないですか?
ほら、今席を立っていった3人、なんで一緒に席を離れたんですかねぇ?
ダウンタイムなんて言葉は……死にたくなければそんなもの忘れてください。
確かに、全力で2時間(以上)裏切りや脅しありの交渉ゲームをみっちりやるのは大変かもしれませんが、「ああ、楽しかった!」というさわやかな感想以外の楽しさは間違いなくあります。
このギリギリの交渉が楽しいって部分、「モノポリーだってもくもくとやったところで面白くないでしょっ?」てのと同じ。
ゲームとしては古いゲームですが、何度も何度も版を重ねられている理由は、テーマに即した内容を、これ以上と無いくらいゲームに落とし込んでいて、かつそれが楽しいから。
それと直接的な叩きあいの無いゲームなんかは小さな子供の情操教育によいと思うのですが、「ディプロマシー」や「フンタ」などの外交・内政ゲームは教育現場に取り込んで欲しいところです。
つか、社会科の教師とかディプロマシーくらいやっとけ。道徳の授業みたいなオハナシを歴史の時間にはじめるより役に立つというもの。
と言うわけで新版フンタ、日本人が苦手なディベート力を鍛えたい人、政治に興味がある人、もしくは政治家の方々に強くお勧めします。
フンタ【日本語版】
プレイ人数:3-7人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:120分
ゲームデザイン:ヴィンセント・ツァオ、ベン・グロスマン、エリック・ゴールドバーグ
製作:Pegasus Spiele
日本語ライセンス版発売:ホビージャパン
価格:6,000円+税
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