ボードゲームとRPGの関係というものはかなり密接なもので、ミニチュアゲームなかりせば、RPGは生まれなかったわけですが、その他にもいろんなジャンルに細分化されていったゲームは、別のジャンルとこれまた影響し合ったりして新しいものを生み出していったりするわけで、
マイス&ミスティクス
もそんなRPGっぽい冒険をする系統のゲーム。
ミニチュア戦闘のあるRPGを、ゲームマスター要らずで、ボードゲームの文法で!
と言えばだいたいのRPG者やミニチュア者は理解。
お話は、とある王国。
王妃はすでに亡く、王子も青年になったある日、黒い兵隊を従えた女が王を訪ね、数日後には結婚が宣言され、城の衛兵は黒い兵隊に置き換わっていって……ついに王が病に伏せて、新たな女王が執政を行います。
……あからさまです。
王子は、城の魔法使い、治癒術師、鍛冶職人と相談しますが、反逆の嫌疑で牢にぶち込まれます。魔法使いは牢から脱出する為、女王の髪を一房取出し、そこにこもっていた魔力を使って魔法でネズミとなって脱出します。女王は魔女だったのです。
しかし、牢の王子たちが見えなくなったことに気付いた黒い兵士は、ドブネズミへと変化して彼らを追い始めます……
というところから始まる感じ。
フィギュアは恐ろしく出来が良い!
この、フィギュアによる想像力の喚起……ブンドド感が非常に重要。
ダイス。基本は特殊ダイスを能力個ふって目標の目の数が成功数の「6デロ」系の処理。
シナリオは最初にマップを組み合わせて、各部屋=シーンで処理していきます。
シナリオの目的を達成したら次の話に続け、キャンペーン的な楽しみ方ももちろんできます。
ゲームのシステムは、RPGとしてみると、シンプルでシステマチックなのですすっと理解できると思われます。
イニシアチブはランダムにカードで決定し……
毎ターン、移動+アクションを実行するというもの。
アクションは、もう1回移動する『疾走』、敵にダメージを出す『戦闘』、アイテムなどを探す『探索』、バッドステータスを取り除く試みをする『回復』、隣のマップに移動する『調査』があります。
キャラクターシートはこんな感じ。
パラメーターは、攻撃、防御、知恵、移動の4つ。
そのほか、職業が右上に。
裏はキャラクターのフレーバー。
カードで『特技』をもらうのはD&D3.0以降の作品らしいところ。職業に応じて自分好みのキャラにカスタマイズできるのだ。
移動は移動力+ダイス目(1-3)マス移動。
同じマスには敵味方あわせて4体までとスタック制限がある上に、移動で敵のいるマスに入ったらそこで停止、そのマスから出るには敵よりも見方が多くなければならないという弱ZOCなのに注意!
戦闘は、同じマスかとなりのマスの敵を狙い、攻撃値の数だけダイスをふって剣もしくは弓の目の目でヒットのいわゆる6デロ式。出た目の数がヒット数=ダメージ。
防御側は防御のためのダイスもふる。楯の目で相殺。
探索はダイス1個をふって★デロ。出たら探索デッキを引くことができ、いろいろ役に立つ感じ。
面白いのはこの攻撃・防御の時の……
チーズの目でチーズが貰える。
味方にとってはカードで受け取る特殊スキルのコストになったり、キャラを成長させる(特徴のカードがもらえるのだ)などに使います。
敵のチーズは、ここに置かれて、溜まると増援がやってきて、ゲームのタイムリミットが1ページ近くなります。
なお、チーズの目でなくても、そのラウンドの最後のネズミの行動後に敵がいなくても、1つ追加されます。
キリよくサクサク進まなければ時間切れになってしまうし、敵がどんどんダイスをふるとチーズが溜まるのでなるべくダイスを振らせないように始末したほうがいいのだ。
なお、敵は毎ターン、ルールに従って(ダイス目マスだけ)移動して攻撃するので、それを踏まえた移動や戦闘をしたほうが効率が良くなります。
基本のシステム自体はこのように、かいつまむとそれほど難しくは無い感じ。
こまごまと特殊アイテムとか、特殊地形のルールがあるけどキニシナイ!
ただし、シナリオが進むにつれ登場する宿敵、ネコのブロディ―や、その他のネズミたちとの因縁、王は? 魔女との決着は!?
……と、物語が紡がれていくさまはRPG系ボードゲームとしては特筆もの。
手慣れたRPGファンやミニチュア者のゲーマーにはもちろんオススメなのですが、TRPG未経験のボードゲーマーでも、ネズミたちの冒険という『物語』の先がみたくなったという人にはぜひこの冒険に参加してほしいところです。RPGとボードゲームをつなぐゲームとして強くオススメいたします。
マイス&ミスティクス
プレイ人数:1-4人
対象年齢:7歳以上
プレイ時間:60-90分
製作:PlaidHat Games
デザイン:ジェリー・ハウソーン
価格:8,000円+税
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