金の相場と言うものはこれを書いている時点で1g約5,000円と言う相場なのですが(いつの間にかこんな高騰してるんだ……)、金鉱山から掘り出した鉱石がそのまま利益が出るかと言うと、いろんなコストをかけてウントンの鉱石を掘り出して金を取り出したときに、その鉱山の鉱石の含有量によっては採算が取れないなんてこともあるわけで……
ペイ・ダート
とはそんな「採算(ペイ)の取れる石(ダート)」の意味。
プレイヤーは極寒の地カナダで、過酷な環境のもとで、金鉱山を経営します。
そのタイムリミットは、気温が15℃からどんどん下がって氷点下0℃になるまで。
……極寒!?
ぬるい!
と思ったら出版元は雪なんて降らないアリゾナ州の会社なのね……
まぁ、キリの良いところで越冬できるところまで退避するタイミングが0℃、と納得しておこう……
共通ボードはこんな感じ。
後述しますが、競りで作業機械を手に入れたり人材を押さえたりするところです。
個人ボードはこんな感じの鉱山。
規模的にはそれほど大規模ではない感じ。
金鉱山の採掘から運搬搬送、選別のラインはすでに出来上がっていて、工員の宿泊施設もありますが他は何もなし……と言う感じのところからスタートです。
ゲームの進行自体は
1.競り
2.労働
3.苦境
4.収入
フェイズで1ラウンド。
「競り」では採掘機械や作業員や採掘地を入札して獲得します。
採掘機械はアップグレードすることで作業効率を向上させ、作業員は増えれば増えるほどいろいろなアクションを可能とします。しかも架空ではありますが、メーカー名とか型番が設定されているのが、イカス。
採掘地は大まかに有望か、普通か、少な目かだけしかわからないもので、ランダムに割り振られた土砂タイルがいくつか乗っており、有望な鉱脈を確保するのは重要なポイントとなります。
下は初期の鉱区。上が結構良さげな鉱区。最低5000ドルの入札額だが、ここにランダムに土砂タイルを置く。右は表に向けてるけど、土砂は最終処理がされるまで表を向けない。
作業員は様々な能力を持ったいろいろな経歴の人々で、これまたキャラクター性があってゲーム上の能力以上に想像力をかきたててくれるというもの。加えてほとんどの場合労働者コマが増えますので、重要(増えない人は直接採掘作業をしないキャラクターとか)。
「労働」では労働者コマを様々な場所に配置して、アクションを実行させていきます。
まさにワーカープレイスメント……寧ろこのゲームのテーマでワーカープレイスメント以外はダメだろうというガテン系。
行えるアクションは、金の売却や道具の購入、採掘機械の使用、修理(採掘機械は使用すると損耗していくのだ)、土砂の処理等々。
因みにこの従業員のミープルは、作業用ヘルメットをかぶってる。
金自体の採掘の流れで行くと、「採掘の開始(パワーショベルで掘る)」→「作業機械の使用(ホイルローダーで土砂搬入)」→「作業機械の使用(洗浄機械で土砂選別)」→金
のながれで3行程が必要。
金の売却で1行程、途中機械修理に数行程必要となっており、便利な工具を購入したり利用する必要もありますので、労働者数は当然重要な感じ。
ただし、労働者の割り当ては自分の鉱区内でするので、アクションスペースをめぐる争いは無く、重要なのは僻地なので潤沢に販売されてるとは言い難い作業機械や道具の入手争いとなりそうです。
パワーショベルで掘り出したけど……
だんだん壊れていくのだ。整備は大事だよー。
因みにグレードの高い作業機械はスロット数が少ないので、効率よく次のステップに土砂を運べるのだ。
見よ、この煌めく金の塊マーカーを……!
コンポーネントはキックスターターで投資が十分に来ちゃったのでかなり奢った感じだ。
「苦境」では苦境カードによりさまざまな困難なイベントが発生し、気温が下がります。
イベントは基本ろくでもない事しか起きません。
そして気温低下の結果、0℃以下になったら次のラウンドが最終ラウンド。
金の選別に大量の水で洗鉱する都合か……屋内で暖房入れないで冬は操業止めるのね。
ゲームに全く関係ありませんが、アメリカのゲームなのに華氏ではなく摂氏表示だ。
「収入」は銀行から運転資金を借り入れるフェイズだけど、自動的に2000ドル貰うだけ。あとは競り対象のタイル類の補充……リセットフェイズです。
と言った感じでゲーム自体は恐ろしくオーソドックスなワーカープレイスメントのゲームで、奇をてらった部分はありません。
しかし ―― 楽しいのは間違いなくフレーバー部分。
最後まで訳語をどうしようか悩んだ採掘機械!(Excavatorは現場経験のある社員の意見もあって悩んだが、ユンボにすべきだったか……)
これ、実在社名だったらかなりグッとくるのに!!
あと前述しましたが、登場人物が結構曲者ぞろいで魅力的なのもいい感じ。
他のプレイヤーとの絡みは重要な採掘機械や人員や採鉱地の奪い合いの競りの部分で、あとの労働部分は気持ちよく自分の鉱区で好き放題……このあたりのワーカーの置き場でほかプレイヤーとぶつからないのは『ウォルナットグローブ』とかと同じですな。
実のところ新機軸のシステムは無いのでルールも覚えやすいので、さっさとルールを憶えてプレイに移れるのは前回紹介した『エンシャント・ワールド』も同様。
ワーカープレイスメントのゲームを探しているひとは候補に入れてよいですし、ほかプレイヤーとの絡みが少な目なゲームを探しているならオススメな感じです。
なにより、「カナダの地で金鉱経営」というテーマこそが命ですので、このテーマにぐっと来る、ガテン系なゲームが大好き、重機サイコーという人には文句なしにお勧めとなります。
ペイ・ダート(Pay Dart)
プレイ人数:2-5人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:90分
製作:CRASH Games
デザイン:トーリィ・ニーマン
価格:8,500円+税
追記:参考までに「アラスカ鉱山業協会(Alaska Miners Association)」というサイト。
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